現在、Android 16 にアップデートした一部の Google Pixel ユーザーから、電話の発着信が正常にできなくなる問題が報告されています。
Google のヘルプコミュニティや Reddit では、アップデート後に通話が繋がらなくなったという声が複数見られますが、これは新しく導入されたセキュリティ機能「高度な保護機能」が原因である可能性が指摘されています。
ネットワークは正常でも通話が失敗する現象
この問題に遭遇したユーザーによると、Pixel のステータスバーには VoLTE や 4G といった正常なネットワーク接続が表示されているにもかかわらず、発信・着信ともに失敗するとのことです。一方で、WhatsApp を使った通話など、モバイルデータ通信を利用する他のアプリは問題なく動作するケースが多いようです。
Pixel 7 Pro のあるユーザーは、ネットワーク設定のリセットなど様々なトラブルシューティングを試した末、工場出荷状態へのリセットを検討していたところ、[設定] > [セキュリティとプライバシー] > [高度な保護機能] にある「デバイス保護プラン」が有効になっていることに気づいたとしています。
同ユーザーは、この機能を無効にしたところ、すぐに通話ができるようになったことを報告しています。この報告は、「高度な保護機能」が、一部のユーザー環境において意図せず携帯電話の通話を妨げている可能性を示唆しています。
なぜ「高度な保護機能」が通話に影響したのか
「高度な保護機能」は、スマートフォンのセキュリティを強化するための機能です。その一環として、セキュリティレベルが低いとされる 2G ネットワークの使用を無効にする仕組みが含まれています。

通常、VoLTE (Voice over LTE) や VoNR (Voice over New Radio) といった高品質な通話方式が利用できない場合、スマートフォンは安定した通話を維持するために 3G や 2G といった古いネットワークへ自動的に切り替えを試みます。
しかし、「高度な保護機能」が有効になっていると 2G への切り替えがブロックされます。もしユーザーのいる場所で 3G が利用できない、あるいは機能していない場合、スマートフォンは通話を接続する手段を失ってしまいます。これが、電波表示は正常であるにもかかわらず通話が失敗する現象のメカニズムだと考えられます。
また、この問題は特定のモデルに限った話ではないようです。英国のユーザーは、Pixel 9 Pro XL で同様の問題を報告しており、非通知で電話をかける際に「高度な保護機能」を有効にしているとネットワークエラーが発生すると述べています。
現時点での対処法
もし Android 16 へのアップデート後に同様の通話問題が発生した場合、以下の対処法で解決する可能性があります。
「高度な保護機能」を無効にする
最も直接的な解決策は、「高度な保護」機能を一時的にオフにすることです。
- [設定] アプリを開きます。
- [セキュリティとプライバシー] > [高度な保護機能] に進みます。
- [デバイス保護プラン] 機能のトグルをオフに切り替えます。
設定を変更した後、一度スマートフォンを再起動することをおすすめします。


新しい SIM カードに交換する
一部のユーザーからは、新しい SIM カードに交換することで問題が解決したとの報告もあります。特に長年同じ SIM カードを使用している場合、カードが古く、Android 16 が行うネットワークのハンドオフ処理(特に「高度な保護保護」有効時)と完全に互換性がない可能性が考えられます。
ただし、SIM カードの交換は最終手段と考え、まずは設定の変更で改善されるか試すのが良いでしょう。
まとめ
「高度な保護機能」は、スパム通話や悪意のあるアプリからデバイスを保護するなど、セキュリティを向上させるための重要な機能です。しかし、現在の実装では、一部のユーザーの通信環境において意図しない不具合を引き起こしているようです。
現時点では、電話の発着信を優先する場合、この機能を一時的に無効にすることが最善策となります。Google が将来のアップデートでこのバグを修正し、強化されたセキュリティと安定した通話機能の両立が実現されることが期待されます。
とは言え、日本国内であれば 2G 回線は使用されませんので、今回の問題が日本のユーザーに影響を与える可能性は低いと考えられます。
出典: PiunikaWeb