Google が先日リリースした最新の Android 16 安定版において、Google Pixel スマートフォンのバッテリーの健全性を長期的に維持するための新機能「バッテリーの健全性アシスタント」が、Pixel 9a に続き、Pixel 9 Pro や Pixel 7 Pro などの既存モデルにも展開されていることがわかりました。
バッテリーの健全性アシスタントとは?
今年初めに Pixel 9a とともに発表された「バッテリーの健全性アシスタント」は、バッテリーの経年劣化を抑制することを目的とした機能です。これは充電速度やバッテリーのパフォーマンスを意図的に調整することで、バッテリーへの負荷を軽減します。
この機能は、Google が Pixel 9a 以前のデバイスにもオプションとして提供することを明らかにしていたもので、Android 16 QPR1 Beta 2 での提供が報告されていましたが 、このたび安定版の Android 16 においても、Pixel 9 Pro や Pixel 7 Pro といった既存モデルで利用可能になっていることが確認されました。
以下は筆者の Pixel 9 Pro における「バッテリーの健全性アシスタント」の設定のスクリーンショットです。

機能の仕組みとユーザーへの影響
Google のヘルプページによると、この機能は充電サイクルに応じて「バッテリーの最大電圧を調整」することで機能します。この電圧調整は 200 回の充電サイクルから始まり、最大 1,000 サイクルまで段階的に行われるとのことです。
Google は、この機能によりユーザーが「バッテリー駆動時間のわずかな減少」や「充電性能のわずかな変化」に気づく可能性があると説明しています。これは、バッテリーの寿命を延ばすためのトレードオフと言えます。
なぜ今、この機能が展開されるのか?
この機能の展開は、近年報告されている Pixel スマートフォンのバッテリー問題と無関係ではないと考えられます。ここ最近では、以下のような Pixel とバッテリーに関連した問題が報告されています。
- Pixel 6a: 非純正充電器の使用中に発火した事例(事例 1, 事例 2)。さらにバッテリー容量を減らす強制アップデートも配信予定
- Pixel 7a: バッテリーの膨張問題が報告され、Google がバッテリー交換プログラムを発表
- Pixel 4a: バッテリー寿命が大幅に短縮されるアップデートが配信 。これは、オーストラリアの消費者監視機関が指摘した一部モデルの過熱リスクに対応したものと見られている
これらの背景から、「バッテリーの健全性アシスタント」は、単にバッテリー寿命を延ばすだけでなく、充電時の負荷を軽減し、デバイスの安全性を高めるという重要な役割も担っていると推測されます。Pixel 9a でこの機能が必須とされている一方、他の Pixel ではオプションとして提供されるのも、こうした事情を反映しているのかもしれません。
まとめ
「バッテリーの健全性アシスタント」は、スマートフォンの心臓部であるバッテリーをより長く、より安全に使うための重要な新機能です。わずかなパフォーマンスの変化と引き換えに、デバイスの寿命を延ばせるのであれば、多くのユーザーにとって有益な選択肢になる可能性があります。
過去のバッテリーに関する課題を踏まえた Google の対応策として、この機能が今後の Pixel スマートフォンでデフォルトになるかはまだわかりませんが、Pixel 9a ではユーザーがオフにできないことから、Pixel 10 シリーズ以降もデフォルトで有効になるものと予想されます。
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