この記事では、GEEKOM が「5 万円未満の最高のミニPC」としてリリースした、AMD Ryzen 5 7430U と 16GB RAM を搭載するコストパフォーマンスに優れた GEEKOM A5 2025 モデルの実機レビューをお届けします。なお、今回のレビューにあたり実機の提供を受けています。
GEEKOM のミニPCはこれまでもいくつかレビューしてきましたが、いずれも高いコストパフォーマンスを実現しており、エントリーモデルから高性能モデルまで幅広いラインナップが魅力です。
今回の GEEKOM A5 2025 モデルは、特に突出したスペックを追い求めるのではなく、手頃な価格で日常的な作業を快適にこなせるバランスの取れたモデルという位置づけです。実際に使用してみると、パフォーマンスと静音性がしっかりと確保されており、扱いやすいミニPCという印象です。

デザインとインターフェース
GEEKOM A5 2025 モデルの外観は、これまでの GEEKOM 製ミニPCのデザインを踏襲しており、約117mm x 112mm x 49.2mm という非常にコンパクトなサイズ感です。

このコンパクトさにより、デスク上のスペースを有効活用できるのはもちろん、付属の VESA マウントキットを使用すれば、モニターの背面などに設置することができます。
筐体には高強度メタルフレームとオールメタルのボトムケースが採用され、ケース表面には傷を防ぐための透明樹脂コーティング(UVコーティング)が施されています。
なお、GEEKOM によると、製品の堅牢性と信頼性を担保するため、200kg の圧力テストや EMI 放射試験など、複数の独自テストを実施しているとのことです。
内部へのアクセス
底面のゴム足部分のネジを取り外すことで、すぐ内部にアクセスすることができるため、RAM とストレージの交換は簡単です。なお、RAM は DDR4 SO-DIMM、最大64GB、M.2 SSD は PCIe Gen3 NVMe または SATA、最大2TB に対応しています。

ただし、底面パネルの裏側には依然としてケーブル類が接続されているため、分解する際はケーブルを傷つけないよう、ゆっくりと慎重にパネルを取り外すようにしましょう。
ちなみに、以前の GEEKOM 製ミニPC の一部モデルでは、底面パネルを開ける際に Wi-Fi アンテナケーブルが意図せず外れてしまうことがありましたが、本機ではアンテナケーブルの取り回しが変更されており、その心配は軽減されています(ただし、SSD 交換時には注意が必要)。

今回のレビュー機は標準で 16GB DDR4 RAM と 512GB PCIe NVMe SSD を搭載しており、一般的な用途であればこの構成で十分なパフォーマンスを発揮します。 どうしても RAM やストレージの不満を感じた場合には、手軽にアップグレードできる点は魅力です。
インターフェース
GEEKOM A5 2025 モデルもコンパクトですが、ポートは十分に備わっています。
- 背面: USB 3.2 Gen 2 Type-C ×1 (データ転送 & DisplayPort 1.4), USB 2.0 Type-C ×1 (データ転送専用), HDMI 2.0b ×2, USB 3.2 Gen 2 Type-A ×1, USB 2.0 Type-A ×1, 2.5G RJ45 LAN ×1, DCジャック
- 前面: USB 3.2 Gen 2 Type-A ×2, 3.5mm ヘッドフォンジャック, 電源ボタン
- 側面: フルサイズ SD カードスロット, ケンジントンロック


2 つの USB-C ポートと 2 つの HDMI ポートにより、最大 4 画面への出力をサポートしています。これだけ多くのポートが搭載されていれば、USB メモリや外付け HDD/SSD、プリンター、キーボード、マウスといった USB-A 接続の従来型周辺機器から、最新の USB-C デバイス、複数の外部モニターまで、柔軟に接続できます。特に、安定した通信環境が必要な場合に 2.5Gbps Ethernet がある点は便利です。
スペックとベンチマーク
今回レビューしている GEEKOM A5 2025 モデルの主なスペックは以下の通りです。
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 5 7430U |
GPU | AMD Radeon Graphics |
RAM | 16GB DDR4 3200MHz SODIMM |
内部ストレージ | 512GB NVMe SSD |
外部ストレージ | SD カードスロット |
背面ポート | USB-C (3.2 Gen 2) ×2 USB-A (3.2 Gen 2) ×1 USB-A (2.0) ×1 HDMI 2.0 ×2 2.5Gbps RJ45 / Ethernet ×1 |
前面ポート | USB-A (3.2 Gen 2 PD 対応) ×1 USB-A (3.2 Gen 2) ×1 |
ネットワーク | Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2 (AW-XB547NF または XB468NF) |
その他 | VESA マウントキット対応 DTPM 2.0 サポート |
サイズ | 117×112×49.2mm |
重さ | 約 652g |
OS には Windows 11 Pro がプリインストールされています。プロセッサーは最大 4.3GHz で動作する AMD Ryzen 5 7430U、グラフィックスは CPU 内蔵の AMD Radeon Graphics を搭載。メモリは16GB の DDR4-3200MHz RAM、ストレージには 512GB PCIe NVMe SSD を採用しています。
参考として、GEEKOM A5 2025 モデルの実機で測定した各種ベンチマークテストの結果を紹介します。
Score | |
---|---|
Geekbench Single | 1,905 |
Geekbench Multi | 6,360 |
Geekbench OpenCL | 13,217 |
Geekbench Vulkan | 12,469 |
Cinebench (Single) | 6,827 |
Cinebench (Multi) | 1,388 |
PCMARK 10 | 5,322 |
PASSMARK | 3,564 |
Octane 2.0 Plus Single | 76,319 |
Octane 2.0 Plus Multi | 574,459 |
JetStream2 | 278 |
Speedometer 2.0 | 318 |
Speedometer 3.1 | 18 |
FF14 最高品質 FHD | 1,702 |
FF14 高品質 (ノートPC FHD) | 3,599 |
FF14 標準品質 (ノートPC FHD) | 3,854 |
3DMARK (Night Raid) | 12,670 |
3DMARK (Fire Strike) | 3,288 |
3DMARK (Steel Nomad Light) | 987 |
3DMARK (TimeSpy) | 1,274 |
Geekbench などのスコアで言えば、シングルコアは Core i7-1265U や i5-1235U、Ryzen 7 6800H よりも高く、マルチコアは 6800H には届きませんが、Intel の 2 つよりもわずかに高いスコアです。
これくらいの性能を備えていれば、高負荷のかかるマルチタスクやグラフィックス性能を必要とする作業以外は問題なくこなすことができます。
使用感
Windows の初期セットアップは、他の一般的な Windows PC と同様で、セットアップ時点で特に問題は発生しませんでした。
オフィスワークとブラウジング
実際の作業では、Google Chrome で複数のタブ(常時 10 個程度)を開きながら、Google ドキュメントやスプレッドシートを併用して、Looker Studio でのデータ可視化作業、そしてこれらの情報を Google Meet で共有しながらのオンライン会議といった一連の作業は、非常に快適に行えました。

ただし、レビュー機が搭載する 16GB RAM の環境では、4Kモニターで Chrome のタブを 20 個以上のタブを開き、アクティブなタブも 6~7 個にしつつ Google Meet での会議やバックグラウンドで YouTube を流すような高負荷な状況なると、タブの切り替えやページの読み込みで若干のもたつきを感じる場面がありました。これは本機に限った話ではなく、メモリ容量に依存する部分が大きいと思われます。
大量のタブを日常的に使用する方や、Adobe Photoshop などメモリ(グラフィックス性能も含むが)を大量に消費するアプリケーションを本格的に使用するヘビーユーザーは、より大容量の RAM を搭載したモデルの検討、あるいは購入後の増設をおすすめします。
開発作業
WSL (Windows Subsystem for Linux) を利用した開発作業も試してみました。
Docker Compose を使って Nuxt 3 と Wagtail で構成されるウェブアプリケーションの開発環境を構築しましたが、ビルドやローカルサーバーの動作などに大きな問題はなく、小~中規模のプロジェクトであれば十分に対応できると感じました。

開発もクラウドベースで行っている場合にはこのデバイスでも問題はありません(筆者は最近 Firebase Studio に移行しつつあります)。
クリエイティブ作業とゲーム
Lightroom Classic での簡単な RAW 現像や、Photoshop で数枚程度のレイヤーを扱う画像編集であれば大きな問題はありませんでした。
また、内蔵の AMD Radeon Graphics は、高解像度の動画編集や最新の AAA タイトルを高画質でプレイするには力不足ですが、フルHD (1080p) 解像度での簡単な動画編集(例:CapCut、Clipchamp)であったり、ブラウザゲームや 2D ベースのインディーゲーム、あるいは比較的負荷の軽いゲームであれば問題なく動作します。
ただ、本格的に動画編集をしたり遊ぶのであれば外部 GPU を搭載しているデバイスを選ぶほうがよく、ゲームであれば専用のゲーミングPC、家庭用ゲーム機、または GeForce NOW や Xbox Cloud Gaming といったクラウドゲーミングサービスの利用を検討するのが現実的です。
冷却性能と静音性
高負荷な作業(ベンチマークテストやゲームなど)を連続して行うと、冷却ファンの回転数が上がり、ある程度の動作音は聞こえてきます。
しかし、アイドル時やウェブブラウジング、ドキュメント作成といった軽作業時には、ファンは非常に静かで、音をほとんど意識することはありませんでした。
一部の上位モデルに比べても静かなので、比較的ライトな作業が中心であれば、あえて上位モデルを買わずに GEEKOM A5 2025 モデルを買うほうが静かに使えるかもしれません。
ネットワーク
2.5Gbps 対応の Ethernet ポートは比較的安定した速度を出していましたが、内蔵の Wi-Fi 機能については、今回のレビュー環境では、同じ場所に設置した他のノートPC(MacBook Pro 16、Chromebook)と比較して、下り速度が 20~40Mbps 程度と、やや低速になる傾向が見られました(他のデバイスでは150~200Mbps)。
これは使用環境やルーターとの相性、あるいは個体差の可能性も考えられますが、Wi-Fi接続をメインで利用する場合は留意しておくと良いかもしれません。
なお、ケースの中身を確認したとき、Wi-Fi カードとアンテナの位置が以前レビューしたモデルと変わっているため、これが影響している可能性も考えられます。
まとめ
GEEKOM A5 2025 モデルは、日常的なブラウジングやオフィスワーク、動画視聴といった用途であれば十分な性能を発揮し、軽めのクリエイティブ作業や開発作業、そして設定次第では一部のゲームもプレイすることができます。
Wi-Fiのパフォーマンスについては若干の注意が必要かもしれませんが、それ以外の基本的な機能や性能、静音性、拡張性といった面では、この価格帯のミニPCとして非常にバランスが取れており、コストパフォーマンスは高いと思います。
特に、従来モデルと同様にコンパクトかつ拡張性を引き継ぎつつ、より手頃な価格帯を実現している点は大きな魅力です。省スペース性を重視する方、サブPCとして、あるいはリビングPCとして手軽に導入したい方、学生や初めてミニPCを購入する方など、幅広い層におすすめできる 1 台です。
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