昨年にも同じ内容でまとめていますが、後半にかけて第8世代のCPUを採用するChromebookが複数登場したこと、多くのエントリークラスのChromebookも少しずつ新世代のCPUを採用しつつあることから、2019年版として新しくまとめ直すことにしました。
ただ、最新世代のCPUについては、まだベンチマーク結果が出ていない(とくにChromebookに関して)ことが多く、そういう箇所に関しては抜けとして扱っているのでご容赦ください。
また今回も、管理人に判断で比較的に流通が多いと思われるCPUのみをピックアップしていますので、お手持ちの機種がないことがあるかもしれません。
あとは他サイト様の方が性能や説明に関してしっかり書かれて(理解して)いるので、ここでは単純なベンチマークスコアの比較だけに留めておくつもりです。
なお、今後新しいCPUやスコアが出た場合には、随時更新予定です。
CPUの基本性能
ここでは基本性能のおさらいです。
昨年の中頃からそうでしたが、おそらく今後ベースとなるChromebook、Chromeboxには、「Celeron N3350」あるいは「MT8173C」以降、今回登場させていませんがAMDのCPUになっていくと予想しています。
ですので、2018年中盤以降に登場してきたChromebookを中心に扱っているため、過去のモデルに搭載されているCPUについては今回掲載していません。
また昨年の記事でもお伝えしていますが、Chrome OSであればベースCPUのN3350等でもネットやメール、動画閲覧、文章作成や表計算など簡単な作業内であれば十分に動作してくれます。
例に挙げれば、N3350の数値が低くてもChrome OSであれば動作と作業にさほど問題はないので、自分のやりたいことに合わせてCPUの性能を上げていく…というイメージで良いかと思います。
ということで、今回登場させるCPUたちです。
ベースクロック | 最大クロック | コア数 | |
MT8173C | 2.2GHz | – | 4 |
N3350 | 1.1GHz | 2.4GHz | 2 |
N3450 | 1.1GHz | 2.2GHz | 4 |
N4000 | 1.1GHz | – | 2 |
N4100 | 1.1GHz | – | 4 |
N4200 | 1.1GHz | 2.5GHz | 4 |
N5000 | 1.1GHz | 2.7GHz | 4 |
m3-6Y30 | 0.9GHz | 2.2GHz | 2 |
3965Y | 1.5GHz | – | 2 |
4415U | 2.3GHz | – | 2 |
m3-7Y30 | 1.0GHz | 2.6GHz | 2 |
m3-8100Y | 1.1GHz | 3.4GHz | 2 |
i3-8130U | 2.2GHz | 3.4GHz | 2 |
i5-7Y54 | 1.2GHz | 3.2GHz | 2 |
i5 7Y57 | 1.2GHz | 3.3GHz | 2 |
i5-8200Y | 1.3GHz | 3.9GHz | 2 |
i5-8250U | 1.6GHz | 3.4GHz | 4 |
i7-7Y75 | 1.3GHz | 3.6GHz | 2 |
i7-8500Y | 1.5GHz | 4.2GHz | 2 |
i7-8550U | 1.8GHz | 4.0GHz | 4 |
本来であればTDP等についても記載すべきかと思いますが、今回は簡単にベンチマークの比較をしていくだけにしたいので、あえて取り上げていませんのでご了承くださいませ。
2018年の中盤以降…とは言いましたが、実際には2017年末にリリースされた「Google Pixelbook」に採用されるCPUが含まれています。
これは上位CPUの進化について目立たせたかっただけなので、参考値としてご覧ください。
Geekbenchのスコア
まずこちらが有名どころのGeekbenchのスコアになります。
マルチスコアでソートしてあります。
ちなみに「i5-8200Y」については有効な値がなかったので除外しています。
Single Score | Multi Score | |
N3350 | 1389 | 2328 |
3965Y | 1790 | 3100 |
N4000 | 1858 | 3137 |
MT8173C | 1204 | 3305 |
N3450 | 1318 | 3737 |
m3-6Y30 | 2203 | 3770 |
N4200 | 1459 | 3952 |
N4100 | 1732 | 4872 |
N5000 | 1936 | 5230 |
i7-7Y75 | 3059 | 5285 |
m3-7Y30 | 2800 | 5400 |
4415U | 2943 | 5639 |
m3-8100Y | 3990 | 6624 |
i5-7Y54 | 3745 | 6921 |
i3-8130U | 3677 | 7100 |
i5 7Y57 | 4073 | 7480 |
i7-8500Y | 4885 | 8225 |
i5-8250U | 3596 | 13800 |
i7-8550U | 4000 | 14700 |
i5-8200Y | – | – |
グラフで見るとこんな感じです。
見づらくて大変に恐縮ですが、イメージで伝わるはず…。とにかく、第8世代のi5とi7の性能がハンパないですね。4コア化の影響でしょう。
これらの最上位CPUが搭載されているのは、「Acer Chomebook Spin 13/Spin 15」や「Lenovo Yoga Chromebook C630」、「CTL Chromebox CBx1」など一部の上位機種となっています。
ただここまでの性能が必要な方、しかもChromebookでとなるとかなり限られていると思うので、多くのユーザーにとってはコストを考えてもあまり重要でないかもしれません。
Geekbenchから見て性能的にどれが良いか
簡単な作業やネットくらいであれば、「N3350」でも十分なことを考えると、ちょっとあれこれ作業したりAndroidアプリで遊んでみたいという方は、「N3450」や「N4200」くらいあると安心だと思います。
ビジネス用途やできる限り余裕を持って作業をしたいという方なら「m3ー8100Y」程度の性能があれば、余裕でこなせるはずだと思います。
そしてLinuxアプリを動かすこと(Crostini)や開発用途として考えるのであれば、「m3-8100Y」は必要だと思いますし、できる限り上位を選ぶ方が後々安心というところでしょう。
クラウドとかリモートによる開発なら、その限りではないかもしれませんが。
Geekbenchのスコアからざっくり区切るとすれば、
- N3350:エントリー/低価格
- N4200:作業用途/ビジネス
- m3-8100Y以上:性能重視/開発
こんな感じがラインかと思います。
おそらくほとんどのメーカーがこれらのCPUをひとつの区切りとしてモデルをラインナップしていると思いますので、あとは機種ごとの基本スペックだったり見た目だったりが選択のポイントになるでしょう。
PASSMARKのスコア
今度はPASSMARKによるスコアの比較です。
こちらも有効な値以外は除外しています。
PASSMARK | |
N3350 | 1105 |
N4000 | 1462 |
3965Y | 1619 |
N3450 | 1768 |
N4200 | 2023 |
N4100 | 2310 |
m3-6Y30 | 3051 |
4415U | 3150 |
i7-8500Y | 3287 |
m3-8100Y | 3461 |
m3-7Y30 | 3557 |
i5-7Y54 | 3737 |
i5-8200Y | 3952 |
i3-8130U | 5063 |
i5-8250U | 7686 |
i7-8550U | 8314 |
MT8173C | – |
i7-7Y75 | – |
i5 7Y57 | – |
グラフ化したものが下記。
ここでも第8世代のCore-iシリーズが飛び抜けています。
ただ「i5-8250U」と「i7-8550U」の差がそこまで見られなかったので、最上位を選ぶときにはコストとの兼ね合いになりそうです。
Geekbenchのときと同じく、「N3350」をエントリーとして、ミドルクラスの「N4200」、ハイスペックの「m3-8100Y」といったところです。
気になるところと言えば…
基本的にGeekbenchの順番とそう違いはないと思いますが、気になるところで言えば「i7-8500Y」と「i5-8200Y」が逆転しているところでしょうか。
ちなみに8200Yと8500Yを採用するモデルには「Google Pixel Slate」や今後発売される「ASUS Chromebook C434」、などがあります。
また「N4100」と「N4200」も数値的に微妙な違いがあります。Geekbenchもそうでしたが、若干「N4100」の方がスコア的には良いようですね。
この2つを採用するのは「Acer Chromebook 512」と「ASUS Chromebook C204/C214」があります。
ただいずれの場合もスコア的に大きな違いとまでは言えないので、結果的にコスト面を比較して考慮するほうが良さそうです。
Cinebench R15のスコア:参考
Chromebookでは測定できませんが、Windowsにも搭載されているCPUたちですので、CPUとGPU(OpenGL)性能を数値化して比較するCinebench R15のスコアも比較しておきます。
こちらも一部の数値を除外。
Cinebench R15 | |
N3350 | 85 |
N4000 | 138 |
N3450 | 143 |
N4200 | 163 |
N4100 | 176 |
m3-6Y30 | 205 |
i5-7Y54 | 234 |
N5000 | 238 |
4415U | 239 |
m3-7Y30 | 250 |
i7-7Y75 | 258 |
i7-8500Y | 271 |
i5 7Y57 | 273 |
i3-8130U | 329 |
i7-8550U | 554 |
i5-8250U | 556 |
m3-8100Y | – |
i5-8200Y | – |
3965Y | – |
MT8173C | – |
こちらもグラフ化しておきます。
こうやってみると、Chrome OSを触ったことがない人がなぜ「N3350」搭載モデルを叩くのかというのが何となくわかる気がします。
ただ毎回お伝えしていますが、「N3350」でも十分快適な動作をしてくれるのがChrome OSです。
他のOSでの体験とはまた違ったものとなるはずなので、「N3350」がベースモデルとなっているんだと思います。
それにしてもここでも第8世代はずば抜けた性能を持っていることがわかります。i7とi5が僅差で逆転していますが。
Cinebenchで言えば、150と250あたりがボーダーな気がします。
Chrome OSで考えるとどうか
やっぱり「N3350」の数値を見るに、Windowsでの辛い体験をしている方は抵抗があるように思います。
反対にChromebookを使ったことがある方なら、よほど気合を入れた作業をしない限り「N3350」でも十分じゃない?心配なら「N3450」とか「N4200」にすれば良いじゃんって思ってくれる…はず。
正直なところ、スペックが良いことに間違いはないんですが、その分コストがかかるわけなので、よほど使い方を考えているわけでなければ、「N3350」〜「N4200」あたりで十分間に合うと思うんですよね。
まあ、Cinebenchについてはこんな感じでしょうか。
Octane v2 のスコア
いつの間にか開発が終了してしまった、GoogleのベンチマークOctaneのスコアです。
もちろん使うことはできるので、私は今でもたまに測定して遊んでいます。
Octane | |
MT8173C | 10000 |
N3350 | 10600 |
N4000 | 11000 |
N3450 | 11297 |
N4100 | 11522 |
N4200 | 12856 |
N5000 | 13097 |
3965Y | 14000 |
m3-6Y30 | 19348 |
4415U | 21322 |
i7-8500Y | 24567 |
m3-7Y30 | 24810 |
i5-7Y54 | 27627 |
i3-8130U | 27818 |
i5 7Y57 | 30850 |
i5-8200Y | 32000 |
i5-8250U | 36400 |
i7-8550U | 42000 |
m3-8100Y | – |
i7-7Y75 | – |
ではこいつもグラフで見てみましょう。
こちらも第8世代Core-iのUシリーズはさすがのスコアです。
ただ相変わらずi7-8500Yの数値が低いのはなぜだろう…。
このグラフで見ると、ざっくりCeleron、Pentium勢とCore m/iシリーズ勢とわかれている感じです。
唯一例外とも言えるのは、「Acer Chromebook Spin 13」に採用される「Celeron 4415U」でしょうか。実はここまでのベンチマークでも、地味にPentium以上m3以下のような位置づけで奮闘しています。
ただコスト面を考慮すると、もう少し出せばi3モデルに届き、抑えるならPentium Nシリーズでも十分…という微妙な立ち位置でもあること、そもそも採用するモデルがほとんどないのが欠点のように思います。
Octaneから考えると…
ここではCeleron・Pentiumにそこまで差が出てないことを考えてみると、ざっくりとしたスペック分けには利用できそうですが、細かい違いを見ることは難しいように思います。
言う慣れば、普段使いや簡単な作業はCeleron・Pentium、より作業量をこなしたり余裕が欲しければm3モデル、とにかく性能重視はi3以上…というような感じでしょうか。
見方を変えれば、この区分けはコスト的な意味合いも強いと思うので、低価格帯(C/P)・それなり(m3)・高め(i3〜)という感じで考えても良いかもしれません。
開発が終わったことも考えると、今後はOctane以外のベンチマークを参考にしていくほうがより良さそうです。
3DMark(Fire Strike)のスコア:参考
これは完全にオマケです。
ベンチマークソフト「3DMark」の中でも高負荷な「Fire Strike」を使用して測定したスコアを出しておきます。
これも完全に参考値ですので、ネタとして流してください。
3DMark Fire Strike | |
N3350 | 1411 |
N3450 | 2028 |
N4200 | 2525 |
m3-6Y30 | 3089 |
N4100 | 3098 |
i7-8500Y | 3308 |
N5000 | 3506 |
i5-7Y54 | 3624 |
4415U | 3755 |
m3-7Y30 | 3866 |
i5 7Y57 | 4170 |
i3-8130U | 5410 |
i5-8250U | 8453 |
i7-8550U | 8666 |
N4000 | – |
m3-8100Y | – |
i5-8200Y | – |
3965Y | – |
MT8173C | – |
i7-7Y75 | – |
グラフ化してみます。
うーん、なんと言うか結局「N3350」が目立ってしまう(笑)
ただこれはゲーミング向けのグラフィックスコアなので、Chromebookの用途として考えればさほど重要な指標ではないかもしれません。
それにしても、思っているよりPentium Nシリーズが頑張っているようです。
そう考えると、ビジネスや作業用としてコストを抑えてもできるだけ性能が良い方を選びたいという方は「N4200」や「N4100」のChromebookを選ぶ方が良いかもしれません。
コストに余裕があったり、できる限り良いスペックで長く使いたいと思えばCore m3 などを選び、スペックを重視するのであればi3以上というイメージで良さそうです。
ざっくりと比較した感想
ということで、ざっくりとですがChromebookとChromeboxに採用されている比較的新しいCPUについてベンチマークを比較してみました。
今回調べた数値は絶対的なものではなく、あくまで参考値としてご覧頂ければと思います。
「N3350」を基準として見てきましたが、決して「N3350」が悪いというわけではないことを改めてお伝えしておきます。
Chrome OSは当然ながらWindowsではありませんので、あちらの体験がそのまま適用されるわけではありません。
もちろん、自作なりBTOなりでハイスペックなPCを持っている方からすればどんぐりの背比べみたいなものだとは思いますが、「N3350」であっても快適に動作するのがChrome OSの良いところだと思います。
じゃあどのCPUが良いのか?
個人的には、コストをかけずにとにかく使い倒すという意味で「N3350」もしくは「N3450」をベースとすれば、少なくともこの数年は問題ないと思います。
ただ、仕事や学校などで多くの作業をこなす場合、あるいはできる限り余裕を持ったスペックがほしいがコストは抑えたい…という方は、「N4200」や「m3-8100Y」ほどのスペックがあればこれも十分だと思います。
それらに加えてLinuxアプリを使いたい方や開発環境を整えたい方には「m3ー8100Y」以上を選ぶ方がより良いと思います。
最後はコスト面との相談になると思いますので、各自のご予算次第というところに落ち着くかと思います。
個人的に選ぶなら
これまでいくつかChromebookを触ってきて思っているのが、意外と下位モデルでも何とかなっているということです。
私であれば、ここではすでに最も数値的に低くなっていますが、「Acer Chromebook R13」に搭載されていた「MT8173C」でも普段の生活には十分だったので、おそらくエントリーで選ぶなら「N3350」搭載モデルで十分だと思います。
ただ何かしらの作業が発生して、例えば今回のようにグラフを作ったり表計算(スプレッドシート)を使う場合には、もう少し余裕があれば嬉しいと思うので、「N3450」ないし「N4200」を搭載していれば問題ないと思います。
ちなみにこの記事作成に使用しているのは「Pixelbook(i5モデル)」で、採用されているCPUはCore i5-7Y54です。
ぶっちゃけた話、私の作業程度だと完全にオーバースペックなので、もしかしたら事務作業などであれば「ASUS Chromebook C302」のm3-6Y30あたりもあれば十分過ぎるのかもしれません。
もちろん今後を見越して、Linuxアプリだったり長く使うことを考えれば、最新のm3-8100の方が当然良いでしょうし、それ以上のCPU搭載モデルを選ぶことも選択肢として悪くないと思います。
となると「ASUS C434」とか「Acer 512」あたりが選択肢として入ってくると思います。
でもやっぱり最後はオカネだと思いますので。
今後について
これからAMD搭載モデルが増え、Snapdragon搭載のモデルが登場してくることが想定できます。
そうなると選択肢も増えますし、エントリーなのか何なのかわからない機種も出てくるんじゃないかなと思います。
選択肢があることは良いんですが、違いがわからなくなるのがユーザーとしては一番困るところですよね。型番とか。
今後はそういった違いをできる限りわかりやすく、こういう表なりでお伝えしていければと思います。
まとめ
という感じで、長々と書いてしまいましたが、2019年はじめにあたってChromebookに採用されているCPUをまとめておきました。
結論としてまとめておくと…
- N3350:低価格/日常使い/学校
- N4200/m3-8100Y:作業用途/ビジネス/法人
- m3-8100Y以上:性能重視/開発
やっぱりこんな感じになると思います。
あくまで私の個人的な感想含めてですんで、ご容赦ください。
ただ、2019年はAMDやSnapdragon搭載モデルが実際に出回ってくると予想されるので、とくにエントリークラスのChromebookの順位というか位置づけが結構荒れるんじゃないかなと思っています。
ただそのうちのいくつが日本で正式にリリースされるのかというが一番の問題な気がしますけどね。
そんなこんなで、後半は相変わらずグダってしまいましたが、今後もできる限り新しい情報は発信していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ちなみに2019/02/04時点でのスコアですので、空欄箇所が追記できそうなら追記していきます。