今回は1万円以下という手頃な価格でノイズキャンセリング(ANC)搭載、LDAC対応、ハイレゾ&ハイレゾワイヤレス認証取得といった特長のある「EarFun Wave Pro」の実機レビューをお届けします。なお、本レビューにあたり実機の提供を受けています。
まずは「EarFun Wave Pro」の特長を以下に簡単に紹介しておきます。
- LDAC対応、ハイレゾ&ハイレゾワイヤレス認証取得
- 最大45dBのノイズキャンセリング機能
- 40mm径 DLC 複合膜ドライバー搭載
- 計5基のマイクとノイズリダクション技術によるクリアな通話
- 最大80時間の連続再生に対応(ANCオンは最大50時間)
- マルチポイント、55msの低遅延ゲームモード対応
- EarFun Audio アプリに対応
- 通常販売価格は9,990円
通常価格1万円を切っていますが、機能面ではかなり詰め込まれていてバランスが良く、コストパフォーマンスはかなりのモノです。とは言え、カタログで語ったところで仕方ないので実際に「EarFun Wave Pro」を使ってみた印象を紹介していきます。
実機レビュー
デザイン
「EarFun Wave Pro」は専用ケースが同梱されており、ヘッドホンは折りたたむことができるためコンパクトに収納することができます。折りたたまれた見た目やぱっと見では「Sony WH1000-XM3 / XM4」を意識したデザインのような印象を受けました。
ケースの中には USB-C to USB-C ケーブル、AUX ケーブルも入っているため、一式で持ち運ぶことも簡単です。なお、Wave Pro 本体とケーブル2つを含めたケースの重さは約491gでした。
EarFun Wave Pro の本体カラーはブラックではなく濃いグレーのような色合いで落ち着いた雰囲気です。
折りたたむことで少しコンパクトになりますし、ケースも付属しているため自宅で使うだけでなく外で使うにもちょうど良いサイズ感です。質感はプラスチックな感じが出ていますが、安っぽい印象はそこまでなく良い仕上がりです。
本体のパッドは頭部分と耳に当たる部分とも同じ硬さで、少し柔らかめですがしっかりとフィットするため装着感は悪くありません。
頭を締め付ける感覚もそこまで強くなく、長時間装着していても大きな負担は感じませんでした。ただ、少しペタッとした感触なので夏場や汗をかいたときなどは蒸れるかもしれません。
操作性
装着して右側のイヤーカップ側面に電源ボタン、ボリュームボタン、モード切り替えボタン、AUX 3.5mm ジャックがあります。左側には充電用 USB-C ポートがあります。
各種ボタンにおけるデフォルトの操作割当は次のようになっています。
ボタン | 操作 | 機能 |
---|---|---|
電源 | 1回 | 音楽の再生/停止 通話の応答/終了 |
2秒長押し | 通話の拒否 | |
2回 | 音声アシスタントの起動 2つ目の通話応答/転送 | |
音量 + | 1回 | 音量アップ |
2秒長押し | 次の曲 | |
音量 – | 1回 | 音量ダウン |
2秒長押し | 前の曲 | |
NC | 1回 | モード切り替え (ANC/ノーマル/外音取り込み) |
なお、アプリを使うことでボリュームボタンとNCボタンの1回押しと長押しの2つをカスタマイズすることができます。例えば、NCボタンはデフォルトで長押しの設定はありませんが、アプリから長押しで「ゲームモード」への切り替えを割り当てることなどができます。
基本的な操作を割り振ることができるので不満はありませんが、ANC/外音取込(アンビエント)の2つだけを切り替えられるような設定(ノーマルを飛ばす設定)があれば、より便利だったと思います。
タッチコントロールではなくボタン操作な点は好みがあるかもしれませんが、確実に操作できるので操作性としては悪くなく、誤操作も起きにくいので個人的にはアリだと思います。
なお、初回起動時は自動的にペアリングモードに移行しますが、2回目以降や2台目のデバイスへの接続をしたい場合には一度電源をオフにして、電源を入れるときにボタンを2秒以上長押ししているとペアリングモードに入ることができます。音声アナウンスがあるのでモードに入ったかどうかは確認できます。
バッテリーに関しては限界まで使い切ったわけではありませんが、仮に1日8時間使ったとしても数日は確実に持つレベルです。また充電も5分で最大5時間分の急速充電に対応し、フル充電まで2時間となっているため、まめに充電するユーザーであればバッテリーの心配はほぼないと思います。
ANC・音質
実際に EarFun Wave Pro をカフェなどに持ち出して使ってみましたが、ANCに関してはかなり効いている印象で、低音はしっかりカットしており音楽を流せばほぼ周りの音が気にならなくなります。
ただ、音楽を流していない状態だと人の話し声などはそれなりに聞こえ、外音取込(アンビエント)モードほどではないにせよ、騒がしさを感じることができてしまいます。このあたりの ANC の効き具合は高級モデルに一歩及ばずですが、音楽再生中なら声も問題ないですし、1万円以下ということを考えれば十分効果的です。
音質についてはデフォルトだと全体的に少し軽く感じますが、アプリを使ってイコライザーを調整することで低音の響き度合いなどをいい感じに調整することができます。
プリセットから選ぶこともできますが、手動でカスタマイズすることもできるため好みのレベルに調整することは簡単です。私はプリセットでも少し軽く感じてしまったので、手動で調整して使っています。
LDAC を有効にすることで音もより広がる印象で、これも1万円以下のモデルでは音が良いと思えるポイントの1つです。さらに ANC / ノーマル / 外音取込 とモードを切り替えても音が変わらず一貫した音で聞くことができ、低価格帯にありがちなモードを変えると音まで変わるといった問題はありませんでした。
ちなみにヒアスルーモードもノーマルに比べてしっかりと外の音を拾っていますが、高音部分が少し強調され、余計な音が増幅されているような印象を受けました。カフェで試してみましたが、そこまで不便はないので実用には十分だと思います。
マイク
今回も自宅の作業部屋とカフェでマイクのテストをしてみました。どちらも Pixel Fold と Bluetooth 接続した状態で Google Pixel Recorder を使って録音しています。
カフェはそれなりに騒がしい状況で、多少の声は入っていますが周囲の音はうまくカットできています。やや自分の話声も小さくなっていますが、ちょっとした電話を受けるときにはとりあえず十分でしょう。
自宅の作業部屋では声はしっかりと拾えていますが、ものすごくクリアな音というより少し機械処理されたような声で聞こえます。とは言え、ちゃんと声は届くのでオープンオフィスなどでは辛いかもしれませんが、静かな環境であれば通話だけなくオンライン会議でも使うことができそうです。
アプリ
最後にアプリについてですが、ログインしなくても各種設定ができるようになったことが地味にメリットで、イコライザーや LDAC / マルチポイントペアリングを手軽に設定できるようになりました。ファームウェアのアップデートなどを含め、アプリでは次のような設定を行うことができます。
- モードの切り替え
- ゲームモードの切り替え
- EarFun イコライザー
- キーのカスタマイズ(ボタン)
- ファームウェアアップデート
- Bluetooth オーディオの品質(LDACまたは安定した接続)
- デュアルデバイス接続(マルチポイントペアリング)の設定
- 音声ガイダンスの設定
- 自動電源オフの時間変更
設定項目は最小限ですがボタンのカスタマイズやガイダンスの設定、自動電源オフの時間設定などにも対応するため、シンプルな使い勝手で悪くはありません。ちなみに ANC はいくつかのパターンで設定することができますが、微妙な変化だったのでデフォルトの設定でも良いと思います。
アプリも初期に比べてかなり改善されている印象なので1万円以下のデバイスのアプリとすれば十分ではありますが、細かい設定の追加やファームウェアアップデート時や挙動の不安定さがなくなればさらに良くなるはずです。
まとめ
EarFun Wave Pro は1万円以下でありながら、ANC と音質(LDAC / ハイレゾ)、長時間駆動のバッテリー、物理ボタンといった使いやすさも含めてバランスの取れた1台に仕上がっていました。アプリも少しずつ改善して最小限でも設定しやすくなったこともポイントです。
手頃な価格で ANC / LDAC / ハイレゾ対応のヘッドホンを求めているユーザーにはお勧めできるモデルです。