今回の記事では、オーディオ機器メーカーの1MOREが昨年5月にリリースしたハイレゾ音源対応・ANC搭載のワイヤレスイヤホン「1MORE EVO」の実機レビューをお届けします。なお、このレビューにあたり実機を提供していただきました。
「1MORE EVO」は、同社の完全ワイヤレスイヤホンの新しいフラッグシップモデルとしてリリースされ、ハイレゾ相当の高音質で聞くことのできるLDACコーデックを搭載し、独自のQuietMaxテクノロジーによる最大42dBのノイズキャンセリング、場所に合わせてノイズキャンセリングの効きが変化するAdaptive ANCを搭載していることが特長です。
「1MORE EVO」はリリースされてから1年が経過していることもあり、すでに多くのメディアでレビューされています。おそらくほとんどが重複すると思いますので、当記事では概要等は軽めで使用感をまとめていきます。
仕様・特長
まずは「1MORE EVO」の製品仕様と特長をざっくりと紹介。
- 10mmダイナミックドライバー
- LDAC ハイレゾ・オーディオ
- 最大42dB アクティブノイズキャンセリング (Adaptive ANC)
- 6アレイマイク
- 最大8時間連続再生(ANC有 最大5.5時間)
- ワイヤレス充電対応(15分充電で4時間使用可能)
- タッチコントロール対応
- IPX4 耐水
- Bluetooth 5.2
- Fast Pair 対応
約2万円という価格ですので、性能・機能面では価格なりに揃っていると考えてよさそうです。
実機レビュー
「1MORE EVO」のケースは質感も良く高級感があり、パッと見た印象よりも軽く持ち運びのしやすいサイズ感です。
ケースの蓋には1MOREのロゴがあり、手前側面には充電状態やペアリングなどを示すLEDライト、後ろ側面には充電用のUSB-Cポートが配置されています。
底面は滑り止め加工がされていて、「1MORE EVO」は有線だけでなくQiワイヤレス充電にも対応しますので充電器の上に置いたときにしっかりと固定できるのはメリットです。もちろん机の上に置いたときにも安定します。
付属品は、充電用のUSB-A to USB-C ケーブルと、イヤーピースのサイズ違いが複数用意されています。
筆者は最初から装着されているMサイズがちょうど良かったのでそのまま使っています。
ケースを開くと、イヤホンが収納されている真ん中部分にペアリング用のボタンがあります。
このボタンを長押しして、イヤホンをペアリングモードに移行させることができます。またAndroidスマートフォンに接続するときには、Googleのファストペア機能に対応しているため、Bluetoothメニューを経由する必要なく素早くペアリングできることがポイントです。
イヤホン と 操作性
続いてイヤホンの本体ですが、見た目は少し大きめでゴツい印象を受けましたが、こちらも見た目の印象より軽く、装着感も悪くありません。イヤホン片方の重さは実測5.7gで、公称値どおりでした。
なお、「1MORE EVO」には着脱検知が搭載されており、音楽を流したままイヤホンを耳から外すと自動で停止し、装着すると自動で再生し直してくれます。この挙動はアプリで変更することができ、自動停止のみで再生はしない、自動で停止も再生もする、どちらもしない、という3つのいずれかに設定することができます。
イヤホンの面部分はタッチコントロールセンサーが搭載されており、各種操作をタップで行うことができます。
ただ、シングルタップ操作の割当がなくダブルタップもしくはトリプルタップ、長押しでの操作しか行うことができません。デフォルトでは曲送り/戻し、音量の調整などを行うことができない点がネックです。
- 2回タップ : 再生/停止
- 3回タップ : 音声アシスタント 起動
- 長押し : モード切り替え
アプリを使って2回タップと3回タップの挙動を変更することができますが、なぜか長押しは変更できません。アプリで変更することができる点は評価しますが、細かいところまで行き届いていない印象を受けました。
それと長押しによるモード切り替えですが、これもノーマル→ANC→ヒアスルー→ノーマル…とループするタイプで、任意の2つのモードを切り替える設定などができない点が残念。
それなりの価格を出すわりに、操作性・使い勝手という点では正直良くはないです。
アプリ
アプリでは、EQをプリセット、カスタマイズ、ユーザーの好みに合わせた音に調整するSoundIDから選ぶ機能、ANCやヒアスルーのモードを調整し、任意に切り替える機能、LDACの設定、2回/3回タップ時の挙動変更、イヤホン着脱時の挙動の設定を行うことができます。
やはり最低限の設定ができるという印象で、同じ価格帯の有名メーカーに比べるとどうしても設定できる項目や細かなところの融通がきかないと感じました。本体の性能面は良いけど、こういった機能や設定面が足を引っ張っているという印象です。
あとAndroidだとアプリのバックグラウンド動作が気になるので、アプリ上からこれの設定を変更できるようにしておくなどすれば、より親切だと思いました。
音質・ANC・マイク
音に関してですが、EQをデフォルト(スタジオ)のままにしておくと、どこかが強調されるわけではなくフラットな印象です。バランスが取れているため、好みの音がある場合にはイコライザーを調整して好みの音を見つけやすいと思います。手間な人はプリセットなどから選ぶこともできるので、手軽さという点も含めて悪くはありません。
ハイレゾ対応のためかクセもないく音が良く感じますし、ANCもしっかりと効き不自然ではないため、この点に関しては十分優秀だと思います。またヒアスルーモードに関しても変に強調されることもなく自然に聞こえるため、こちらも十分なレベルだと思います。
アプリを使うとANCは4つの設定(ディープ、マイルド、風切り音低減、スマート)を切り替えることができ、ヒアスルーも2つの設定を選ぶことができますが、筆者の場合デフォルトで十分だと感じました(ディープと環境音優先)。設定による微妙な違いは確かにあるので、これは好みで選択することになると思います。
最後にマイクについてですが、これが思ったよりも良く、静かな環境はもちろんでも少し騒がしいカフェでも十分通話に利用できると思います。
さすがに外では音の途切れは目立ちますが、声はちゃんと届いていますので咄嗟の通話に出るときなどには十分ですね。静かな環境であれば、やや機械っぽい感じになるもののしっかりと聞こえるため実用的だと思います。
まとめ
ということで、今回はハイレゾ対応・ANC搭載のワイヤレスイヤホン「1MORE EVO」の実機レビューをお届けしました。
操作性やアプリの柔軟性には正直欠けると言わざるを得ませんが、音とANC、マイクに関しては十分優秀なレベルでどちらを優先するかにもよるものの検討する価値はあると思います。
一方、価格は19,990円と決して安くない価格で、このクラスになると競合もそれなりのメーカーやデバイスが相手になってしまいます。また、LDACコーデックに対応していないiPhoneでは利点を十分に活かせない可能性もあり、基本的にAndroidスマートフォンユーザー向けである点にも注意が必要です。このあたりも含め、購入前には様々なメディアにおけるレビューを比較しながら検討することをおすすめします。