今回の記事では、中国を拠点とするオーディオ製品に特化したメーカー 1MORE が、手頃な価格のヘッドホンの新たな選択肢として2022年9月にリリースした「1MORE SonoFlow」の実機レビューをお届けします。なお、レビューにあたり実機の提供を受けています。
「1MORE SonoFlow」は、ハイレゾ音源(LDAC)対応とアクティブ ノイズ キャンセリング(ANC)を搭載して1万円台前半という手頃な価格が魅力のオーバーイヤー ワイヤレスヘッドホンです。最大70時間の連続再生や専用アプリによるイコライザー調整(アップデートされました)もできるため、手頃な価格で出来ることも多く、手を出しやすいモデルに仕上がっていると思います。
「1MORE SonoFlow」は発売から半年以上が経過していますので、すでに多くのユーザーがレビューをしていることを考慮しつつ、当記事では概要は軽めに実機の使用感をまとめていきます。
特長・仕様
まずは「1MORE SonoFlow」の特長を大まかにまとめると次のような点が挙げられます。
- ハイレゾ音源 LDACコーデック対応
- 40mm DLCダイナミックドライバー
- 12個のEQプリセットとカスタマイズ可能なイコライザー
- QuietMax ハイブリッド ノイズキャンセリング
- 5つの通話用ENCマイク
- 最長70時間の連続再生(5分の急速充電で5時間再生可能)
- ワイヤレス・有線接続の両方をサポート
- マルチポイントペアリングサポート
- 約250gと軽め
- 専用ケース付き
1万円前半のヘッドホンでは、ハイレゾ対応とANC搭載、最長70時間のバッテリー駆動、ワイヤレス・有線の両接続対応、マルチポイントペアリングあたりが揃っていることはなかなかありませんので、これらが「1MORE SonoFlow」を選ぶメリットになると思います。
実機レビュー
「1MORE SonoFlow」は専用のハードケースに収まっており、このあたりも低価格ながらしっかりと作られている印象です。
ケースを開くと、折りたたまれた状態で本体が収納されており、蓋部分のメッシュポケットには充電用のUSB-A to USB-Cケーブルと3.5mm to 2.5mm Audioケーブルがあります。
ちなみに充電ケーブルは一般的なものですが、「1MORE SonoFlow」の有線接続には3.5mm相互のケーブルではなく、片側が2.5mmサイズになっているケーブルが必要です。
上の写真は付属の有線接続用ケーブルですが、3.5mmに比べて片側がわずかに細くなっていることが確認できます。ほとんどの場合、付属のケーブルを使うことになると思いますが他のケーブルで代用するときにはご注意ください。
デザイン
続いて「1MORE SonoFlow」本体です。パッドと繋がる部分を折りたたむことができるため、収納時は見た目よりもコンパクトになります。
折りたたみ部分はしっかりと作られており、すぐ壊れてしまうような印象はありません。1万円以下のモデルではこのあたりの作り込みの甘さが気になることはありますが、1万円前半を出す「SonoFlow」はその不安はないです。
イヤーパッドと頭に当たるパッドは同じ素材を使用しており、マシュマロ系の柔らかさと触り心地で負担も少なく、装着感は良いと思います。
オーバーイヤーなので圧迫感が気になる人や締め付ける感じを気にする人もいると思いますが、「SonoFlow」は締め付けはそこまで強くなく、1〜2時間程度の装着していても特に疲れなどはありませんでした。
ただ、良くも悪くもしっかりと密着・密閉される感じはあるため、夏場や汗をかいているときなどはそれなりに気になりそうです。
操作性・アプリ
本体のボタン類と操作性について、「SonoFlow」はボタン類が全て装着したときに右側に来るようになっています。
右前側に電源ボタン、耳後ろにANCの切り替えとボリュームボタンが位置します。右利きであれば操作性自体に特に問題を感じることはないと思います。
なお、ボタン操作については「Sonoflow」をスマートフォンとペアリングしたあと、アプリを起動して連携させたときに操作説明があります。取説にも記載はありますが、アプリの説明は画像付きのため直感的にわかりやすいと思います。以下はアプリで紹介されるボタンの見た目どおりではない操作方法です。
- 曲送り/戻し : 音量ボタンを長押し
- 音楽再生/着信応答 : 電源ボタンを単押し
- 音声アシスタント : 電源ボタンを2回押し
- ANCモード切り替え : NCボタンを単押し(オフ→ANC→ヒアスルー…ループ)
この流れでアプリについても紹介しておきますが、できることはモードの切り替えとイコライザーの調整、LDAC(ハイレゾ)の設定と最低限の操作ができるという印象です。
EQはプリセットから選ぶか、自分でカスタマイズすることができます。なお、ファームウェアアップデートによって追加されますので、最初は上の画像のような表示になっていない可能性があります。
ちなみにハイレゾで聞くためには、スマートフォンが対応しているうえでアプリから[エルダック(LDAC)]の設定をオンにする必要があります。デフォルトで無効になっていますので、アプリからこれをオンにすると一度「SonoFlow」が再起動し、その後有効になります。
筆者はあまり設定をイジるタイプではないので、EQなどの設定ができれば十分だと思います。ただ、任意のモードに設定しやすくするため、例えばANCとヒアスルーだけ、ANCとオフだけといった感じでアプリから切り替え操作を設定できるようにしてくれると嬉しいですね。
今だと任意のモードにするためには、アプリを使うかモード切り替えボタンをループ(オフ→ANC→ヒアスルー→オフ…)させる必要があります。
音質・ANC・マイク
この数日、実際に「1MORE SonoFlow」を使っていますが、ANCに関しては低音をカットしていることが実感できるレベルです。エアコンや空気清浄機などの低い音もカットしますし、オーバーイヤーヘッドホンで密閉感もあるため1万円台前半ということを考えるとかなり良いと思います。
いわゆる高級モデルに比べると、音の抑えられ方はさすがに甘いように思いますが、価格を考えれば十分だと思います。音楽を流していればよほど大きな音でなければ気にならないはず。
ただ、ヒアスルーモードに関しては正直イマイチで、高音部分が強調されて聞こえてしまい、全体的にノイズが乗って甲高い音になってしまいます。ちゃんと聞こえはしますが、若干耳障りになるという印象でした。ANCがしっかりしているため、ここの落差が気になったのが残念です。
音質についてですが、ハイレゾ対応ということもあって中低音から高音まで特に不満や気になることはありません。価格を考えればしっかりとした音質だと思いますが、それよりもANCやヒアスルー、オフなど各モードで聞こえる音に差があることが気になりました。安価なモデルにありがちと言えますが、ANCにすると低・中音を重視するような印象で、ヒアスルーやオフにすると音が軽くなります。このあたりはせっかくならもう少し詰めてほしかったという印象です。
最後にマイクについて、恒例のマイクテストを実施しています。
この製品の推しどころではありませんので仕方ないとは思いますが、静かな環境であればそこまで気にならないものの、それなりに騒がしい場所(オフィスやカフェ)ではあまり良い反応ではありません。まったく聞こえないというレベルではありませんが、あくまでオマケ程度に考えておきましょう。
気になった点
ヒアスルーやモードによる違いといった部分は前述のとおりですが、細かいところで言えば以下の2つも気になっています。
- 着脱検知がない
- モード切り替えがわかりづらい
- マルチペアリングがうまくいかない
まず着脱検知がないことについては文字どおりで、「1MORE SonoFlow」にはこの機能がないので毎回手動で停止、再生する必要があります。価格を考えれば仕方ないと割り切れますが、どうせならこれも使えれば良かったですね。
あとはモード切り替え時に効果音が流れますが、似たような感じなので自分がどのモードに切り替えたかわかりづらいです。アプリを確認するか音で判断すれば良いのですが、いちいち手間なので効果音だけでなく音声アナウンスを選べるようにしても良さそうです。
筆者としては最後の一つが大きな問題で、「1MORE SonoFlow」はマルチポイントペアリングに対応していますがペアリングの段階でうまく接続できないことや、起動して再接続するときにちゃんとペアリングされない、といったことが何回もありました。
1台のみの接続であればスムーズでしたが、2台以上とペアリングしておくとなかなか目的のデバイスと接続されず、手動で接続しないといけない…ということもしばしばありました。正直、このあたりの使い勝手の悪さがネックで、複数台をパッパと切り替えて使いたいというユーザー向きではありません。
とはいえ、1万円前半ということを考えれば、それ以外の点では実用かつ十分なレベルでまとまっていると思うので、選択肢としてはアリですね。
まとめ
ということで、今回は「1MORE SonoFlow」の実機レビューをまとめてきました。
ハイレゾ対応、ANC搭載、バッテリー駆動時間の長さと1万円台前半で購入できるワイヤレスヘッドホンとしてかなりまとまった良いモデルです。一方、価格なりに割り切る部分や機能もありますので、重視するポイント次第になりますが、筆者としてはオススメできる1台です。