「Google Pixel Buds Pro」は2022年5月に開催されたGoogle I/Oにて発表され、日本では7月27日から発売となりました。前モデルとなる「Pixel Buds」やその廉価版の「Pixel Buds A-Series」では搭載されなかったアクティブノイズキャンセリング機能やマルチポイントペアリングがあるなど、細かなところが改善された完全ワイヤレスイヤホンです。
前モデルは国内外で発売タイミングがズレたことで輸入していましたが、「Pixel Buds Pro」は発表と同時に予約できたため27日に手元に届いています。ということで今回は、短い時間の使用ではありますが「Google Pixel Buds Pro」の実機レビューをしていきたいと思います。
ケース
まずは「Pixel Buds Pro」の同梱品です。中身は前モデルと変わらずシンプルで、ビニールは廃止されて紙ベースの包装になっています。
中身は本体と取説、イヤーピース(S/L)が入っています。充電用ケーブルは同梱されていませんので別途用意するか、ワイヤレス充電を使う必要があります。
ケースのデザインは過去モデルと大きく違いはなく、卵の殻のような質感になっているところも同じですが、わずかにサイズが大きくなっています。
ヒンジ側の下部にボタンや側面部にUSB-Cポートが配置されているところなども「Pixel Buds」と同じです。外観での違いと言えば、LED通知インジケーターが下側ではなく上側(黒い線のやや下)に変更されたところです。
また、蓋を開けてからイヤホンとの間にあった通知LEDがなくなっていることも違いになります。ちなみにケースはIPX2等級の防滴・防水機能を有しています。
前モデルとの違い
ケースについて前モデル「Pixel Buds」との比較を簡単にしておきますが、前述したようにわずかにサイズが大きくなってLEDの位置が変わったくらいしか差はありません。
どちらも左側が「Pixel Buds Pro」、右側が「Pixel Buds」ですが、Proのほうがちょっと幅広で上下が詰まったように見えるかと思います。しかし重さはイヤホン込みで約62gと前モデルより5g程度軽くなっています。
イヤホン
続いてイヤホンについてですが、こちらは前モデルなどからデザインなどは変更されていて、前がメントスなら今は豆という感じになりました。
アクティブノイズキャンセリング機能やバッテリー駆動時間の延長による影響か、前モデルよりも厚みはやや増しています。ただ前モデルで賛否のあったシリコンの突起がなくなったので、むしろ装着感は悪くなっておらず、着けやすくなったと思います。
また、イヤホンには圧力検知や着脱検知、タッチセンサーなどが搭載されています。あとはIPX4等級の防水・防滴機能を備えているため、汗や雨などで濡れてしまっても動作に影響はありません。
前モデルとの比較
イヤホンも前モデル「Pixel Buds」とのサイズ感を比較しておきます。
前モデルはよりコンパクトで軽量でしたが、機能面では物足りなさがあったことやバッテリー駆動時間が短めという点がネックでした。「Pixel Buds Pro」では物足りなかった部分がフォローされたものの、厚みが増してサイズ感も変わったわけですが、装着感や使い勝手に悪影響を与えるようなものではありません。個人的には機能が増えたことが喜ばしいので、全然問題無しです。
使用感
では実際に「Pixel Buds Pro」を使ってみての使用感をまとめていきます。この記事を執筆している時点では2日程度の使用ですが、もともと「Pixel Buds」を使っていましたので、その進化は十分に体感しているつもりです。
音とアクティブノイズキャンセリング
まず音について、前モデルとは異なり専用の11mmダイナミック スピーカードライバ(前は12mm)を搭載していますが、前モデルはANC非搭載の上で密閉感がそこまでなかったため総合的に音は軽く感じていました。しかし、「Pixel Buds Pro」はより密閉した感じであることやANCを搭載したことなどによって音に集中できるようになったため、結果的に前モデルよりも音は良く聞こえていると思います。
このあたり個人差はあると思いますが、高音・中音・低音ともバランス良く聞こえますので、決して悪い選択肢ではないと素直に感じました。とは言え、イコライザーによる細かな調整などができるわけではないため、音にこだわるユーザーには物足りなさはあると思います。
遅延についてもそこまで気になるレベルではなく、音楽や動画視聴でも特に不満を感じませんでした。ただコーデックはaptX非対応となっているため、ここにこだわるユーザーにとっても物足りなさはあるかもしれません。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)については、正直イメージしていた以上に効いていると思います。ルンバの駆動音はそれなりにしますが、扇風機やエアコンなどはうまくフィルターできていて、「Jabra Elite 85t」と比較してもそこまで差はないと感じるレベルです。なので、かなりしっかり効いています。
またヒアスルー(外部音取り込み)モードも違和感なく使えていて、音楽を流しながらだと会話は難しいかもしれませんが、止めておけば問題なく会話ができました。不自然な強調などもなく、使いやすいと思います。
マイク
「Pixel Buds Pro」になってマイクの性能がより良くなったと思います。以下は比較的静かな部屋で録音したものと、カフェ(スタバ)で録音したマイクサンプルです。
電話で話している感じは拭えませんが、静かな場所であればかなり明確に内容を聞き取れていると思います。
スタバでも試してみましたが、それなりに人のいる状況でしたが、しっかりと声は届けられていると思います。周りのノイズは抑えられているとは言え、大きめの音などは普通に聞こえています。とは言え、オフィスなどでも十分に通話や会議への参加が成り立つと思いますのでアリですね。
マルチポイントペアリングにも対応していますので、スマホでの通話だけでなくChromebook等でのWeb会議用としても使いやすくなっています。ただ、Jabraのようにサイドトーン(側音)機能がないので、ANCをオンにしたままだと自分がどれくらいの音量で話ているかが把握しづらいというのがネックかも。
マルチポイントペアリング
ANCに加えて新機能となったのが2台のスマートフォンやタブレットなどに同時接続できるマルチポイントペアリングです。
おそらく開封して初ペアリングの直後はオフになっていますので、例えばPixelスマートフォンであれば[設定]アプリから[Bluetooth]、[デバイスの詳細]内にある”マルチポイント”をONにすることで利用可能となります。
「Pixel 6 Pro」とChromebookに接続して試してみましたがちゃんと機能し、例えばChromebookで音楽を聞いているときにPixelに着信があれば、ちゃんとそちらに接続されてイヤホンを介して通話することができました。
ただその後、Chromebook側で音楽再生に戻そうとするときに成功することもありましたが、スマホ側に接続されたままになってしまうこともあったので、まだ不安定である可能性があります。とは言え、便利なことに間違いはありません。もう少しスムーズな連携ができればいいかなとは思います。
バッテリー駆動時間
ANCをオンにした状態で1時間半程度、途中で10分程度の通話を挟んだりもしましたが、イヤホン本体のバッテリー消費は10%程度となっていて、普段使いのイヤホンとして全然問題なしだと思います。新幹線移動で言えば、東京〜大阪間くらいなら余裕で持ちますので、長時間移動する人にとっても良い選択肢になると思います。
設定など
最後に設定についてですが、途中でお伝えしたようにイコライザーとかはないため音に関して調整することはできないのが残念です。タップ操作も細かい変更はできませんが、長押し時の動作変更やモード切替時の飛ばし設定(3つのモード切替ではなく2つの切替にできる)はできるため、私としては十分だと思っています。
設定と連携という面で言えば、スマホやタブレットだけでなくChromebook側からも「Pixel Buds」の設定が変更できるようになる(MacとAirPodsのように)と、もっと便利になりそうです。
まとめ
この数日の使用感をもとにすれば、例えばPixelスマートフォンを使っているユーザーで、特定のオーディオブランドの好みがないのであれば、とりあえず「Pixel Buds Pro」を選んでおけば便利だしちょうどよいのではと思えるレベルに仕上がっています。
設定できる項目や機能は限られていますが、そこまで細かく設定しない代わりにANCやマルチポイントが必要だと思うAndroidスマートフォンユーザーには良い選択肢になると思います。とくにPixelスマホユーザーであれば一考の価値ありです。
今後、Chromebookとも連携していくことが期待できますので、いまChromebookをお使いかつAndroid(Pixel)スマートフォンをご利用の人はぜひチェックしてみてください。