Chromebook 向けに Snapdragon X 系 を採用する新しいベースボード Bluey が登場し、そこから派生する Quenbi と Quartz の開発が進んでいます。
現時点の公開情報からは、Quenbi は複数のバリエーション、Quartz はハイエンドなプレミアム方向、といった役割分担が見えてきました。
本記事では、記事執筆時点(2025 年 10 月 18 日)で確認できている Snapdragon X シリーズ(Snapdragon X Plus および X Elite)を搭載する Chromebook の開発状況をまとめます。
Bluey ファミリーの登場と派生モデル
Bluey は今年 4 月頃から開発が確認された Snapdragon X シリーズを前提にしたリファレンスボード(設計の共通基盤)です。
開発コードから、Chromebook として初めて「Snapdragon X Plus X1P-42-100」を搭載するデバイスの基礎となることが確認されました。

ここから Quenbi と Quartz と呼ばれる 2 つのボード(モデル)に派生しており、いずれも開発の初期段階ながら、量産化に向けた基礎部分の準備が進んでいます。
Quenbi / QuenbiH
今年 5 月頃から、Bluey をベースにした最初のボードとなる「Quenbi」の開発が開始されました。

現時点では詳しい仕様については不明ですが、公開コードからデュアルファン搭載の可能性や、外部映像出力(HDMI)に対応する可能性などが示唆されました。
さらに、HelenTech の調査では、「QuenbiH」と呼ばれるバリエーションも追加されており、こちらは S「Snapdragon X Elite (Qualcomm Hamoa)」を用いたテストが行われています。

このことから、Quenbi は単一のモデルではなく、Snapdragon X Plus / Elite など構成を選択できるようなモデルになる可能性があります。
Quartz
「Quartz」は Bluey をベースにした 2 つ目の派生モデルで、今年の 9 月頃から開発の動きが確認されています。

こちらもまだ詳細は不明ですが、コード上の記述からデュアルファン搭載に加えて、ハプティック対応タッチパッドを採用する可能性が高く、プレミアム志向を意識した展開がうかがえます。

また、充電ランプの制御が左右ポートそれぞれに用意され、充電中はアンバー、満充電はホワイトといった表示の切り替えが想定されています。そのため、2 つの USB-C ポートが存在し、左右それぞれに 1 つずつ搭載される可能性があります。
さらに、HelenTech の調査では、Quenbi や以前の情報とは異なり、Snapdragon X Elite のみの構成でテストされていることが確認されました。

なお、バッテリーは SMP 製 (smp, 333-1d-2d-a) と ATL 製 (atl,313-b7-2d-a) を使用することを示す記述も見つかっています。
まだ「Quartz」がどのメーカーのモデルになるかは不明ですが、Chromebook で初めてハプティックタッチパッドを採用したメーカーが HP でした。ハプティックタッチパッドを搭載する「HP Elite Dragonfly Chromebook」はプレミアムな Chromebook としてリリースされているため、今回もそうなる可能性は十分に考えられます。
まとめ
Snapdragon X シリーズを搭載する Chromebook は、Bluey を起点にチップセットにより構成を選べる Quenbi と、よりハイエンドかつプレミアムなデバイスとなる Quartz の 2 方向で開発が進んでいます。
開発の進み具合を見る限りでは、年内リリースというよりも 2026 年以降に登場する可能性が高いと考えられます。しかし、Qualcomm はすでに第 2 世代の Snapdragon X2 Elite を発表しているため、今後搭載されるチップのバージョンが変更される可能性もあります。
現時点ではチップの選択肢や詳細な仕様など不明な点も多いですが、今後の開発の進展によって、より具体的な情報が判明することが期待されます。
HelenTech では、引き続きこれらのモデルの最新情報を追っていきます。
出典: Chromium Gerrit