今回の記事では、2024/05/08から10日まで東京ビックサイトで開催されていた教育総合展(EDIX) 2024の参加レポートをお届けします。
この展示会では Google for Education ブースや各メーカーのブースで、未発表または発表直後の Chromebook が展示されているだけでなく、教育現場において Chromebook などを活用するのに便利なツールや製品が多数紹介されていました。
本来、こういうモノだけにフォーカスするイベントではありませんが、この記事では当サイトのメインテーマである Chromebook を中心に取り上げていきます。
今回展示されていた各メーカーの Chromebook をまとめていきますが、今年の EDIX では第2期 GIGA 向けとして発表済みではあるものの、実機の展開は年内後半を予定している開発中のデバイスや、そのモックなどが多数展示されていました。もちろん現行機種や近日リリース予定の Chromebook もありましたが、これもかなりの数があったので発表された後でも情報がかなり少ない一部のモデルをピックアップしていきます。
Dynabook
まず最初に紹介するのは2024年4月17日に発表された「Dynabook Chromebook C70」です。展示されていたものは実機ではなくデザインモックアップでしたが、外観に関しては実際のデバイスと大きな違いはなく、デザインを確認することができました(ごく一部に変更あり)。


Dynabook Chromebook C70 はいまとなっては貴重な10.1インチディスプレイを採用しており、堅牢性と使いやすさを兼ねたタブレットタイプの Chromebook です。本体には USB-C ポートが2つ、USB-A ポートも1つ搭載されており、拡張性があることもメリットです。
また、着脱式キーボードはヒンジを差し込むタイプになっており、最近のタブレットタイプと違ってキックスタンド分の後ろの広さが必要なく、コンパクトなクラムシェルとして使うことができます。そのためプレスリリースなどでは「キーボードドック」と呼ばれています。このタイプの着脱式を採用した理由として、とくに学校の教室にある机は小さい(狭い)ことや後ろに倒れて落ちることを防ぐためとしています。


なお、キーボード側にスタイラスペンの収納スロットがあり、本体と接続した状態であれば充電できるようになっています。
さらに本体も堅牢性規格に準じているだけでなく、耐衝撃性と滑り止めを兼ねた熱可塑性ポリウレタンのバンパーを備えています。これにより落としたときの衝撃を抑えるだけでなく、タブレットを机の上に置いたまま机を持ち上げて移動させたり向きを変えたりするときでも滑って落ちづらくなっています。


キーボードも Chromebook の日本語配列にありがちな無理やり詰めたものではなく、しっかりとスペースとピッチ、サイズを確保した無理のない日本語配列となっています(本体が小さいのでキーサイズは小さめですが)。
あとは実際の使用感がどうなるかですが、10.1インチのコンパクトなフォームファクターにうまく ChromeOS を落とし込んでいるため、数年前の Chromebook で今も名機と呼ばれて人気のある「ASUS Chromebook C100/C101」のような立ち位置になるかもしれません。
とは言え、今回の Chromebook はあくまでも教育市場向けとして展開されるのみであり、コンシューマーに展開する計画はないようです。残念。
この他のスペックに関してはプレスリリースで公開されていますので、以前の記事をご覧ください。
マウスコンピューター
こちらも今年3月に国内文教向けとして発表された新しい Chromebook である「mouse Chromebook U1-DAU01GY-A」の実機が展示されていました。Google ブースで展示されていたモデルは日本語配列でしたが、TD SYNNEX ブースに置いて合ったモデルは英語配列となっていました。



このモデルは11.6インチサイズで本体の側面にある USB-C ポートを使ってスタイラスペンを収納しておくことができます。残念ながらあまり触れることができず詳しい話も聞けませんでしたが、全体的にしっかりと作られており、教育現場向けとしてはスタンダードな Chromebook に仕上がっています。
Lenovo
Lenovo からも GIGA 第2期向けとして新しい「Lenovo Chromebook Duet Edu G2」が展示されていました。このデバイスは既存タブレットタイプの「Duet 370 Chromebook」と似ていますが、USB-C ポートが2つに拡張され、Webカメラにスライドカバーが搭載、USIペンを収納できる新しい堅牢性規格の保護ケースが付属している点が異なります。



もうひとつ、2-in-1 コンバーチブルタイプの「Lenovo 500e Chromebook Gen 4s (Lenovo 500e GIGA School ED)」も用意されており、こちらも GIGA 1.0 で提供していたモデルのアップグレード版となっています。
諸事情あって写真撮影ができていませんが、既存の 500e Chromebook からプロセッサを載せ替え、2つの USB-C と 一つの A ポート、HDMI ポートを搭載し、本体収納式スタイラスペンを備える予定としています。また、ユーザー側で交換可能な内蔵バッテリーを採用しています。ちなみに隠し機能的なものとして、えんぴつをスタイラスペン代わりに使える「ペンシルタッチ機能」を使うことができます。
あとはエンタープライズ向けでもリリースされている Lenovo Flex 5 14 Chromebook も展示されていました。

DELL
DELL からは2024/05/09に発表となった「Dell Chromebook 3120 2-in-1」が一足先に展示されていました。デバイスの詳細についてはこちらでまとめています。

こちらも Intel N100 プロセッサを搭載し、性能は前世代のモデルよりも向上しています。また、堅牢性規格では MIL-STD 810H における17項目のテストを実施しており、さらに追加で6つの項目(76cmから鉄板への落下、122cmから合板へ落下、10cmから10,000回の落下テスト、6万回のヒンジ開閉テスト、355mmの液体こぼし、IP5Xの粉塵)のテストをクリアしていることも特長です。
ASUS
続いて ASUS からは教育市場向けとして今年発表された新しいCR11/12とCZ11/12シリーズ、エンタープライズ向けで発表された ExpertBook CX54 Chromebook Plus Enterprise の実機がありました。



とくに ASUS は Chromebook Plus モデルを国内で最初にリリースしたこともあり、例えば Chromebook Plus CX34 や CX54 を教員向けとして、コンバーチブルやタブレットの CZ1104やCM3001 を児童生徒向け、さらに Chromebox 5 を校内サイネージ向けとして用途別に豊富なラインナップから選択できることが魅力のひとつです。
Acer
日本エイサーからも先月発表された新機種 Acer Chromebook Spin 511 R756T が展示されていました。このモデルも前世代から性能が向上した Intel N100 プロセッサを搭載しており、MIL-STD 810H に準拠した堅牢性と本体収納可能な USいペン、外れにくいアンカー固定キーキャップなどが特徴となります。

また、新しい R756 シリーズはキーボードに不具合があった場合に簡単に交換できる設計になっており、2本のネジを外すだけでキーボードを交換できるようになっています。
HP
最後に日本HPからは現行の Fortis x360 G5 Chromebook と新しい Fortis x360 MK G5 Chromebook が展示されていました。


教育向けに展開されている Fortis Chromebook シリーズは、USIペンの収納位置がキーボードのヒンジ側部分にあることが特長で、新しい MK G5 には Kompanio 520(MediaTek MT8186)が搭載されます。このモデルは2024年10月リリース予定です。
また、既存の Fortis x360 G5 Chromebook は Intel N100 プロセッサを搭載していますが、新しいバリエーションとして「LTE回線が容量無制限で5年間使い放題(KDDI回線)」というパッケージが用意されます。別途モバイルネットワーク(SIM)を用意する必要がない上にコストを大きく抑えられるメリットもあります。こちらも10月にリリース予定となるため、詳細については 日本HP にご確認ください。
まとめ
ということで、本来であればさらに細かい点にも触れていくべきだとは思いますが、それらも含めると非常に量が多くなるため、主なポイントだけを抜粋して紹介しました。
GIGAスクール構想第2期に向けて Google for Education だけでなく各メーカーも様々なデバイスやサービスを展開しており、今後の学校教育の在り方がどのように変化していくかは楽しみです。
あとはこういった教育を受けた層を受け入れることになる企業側も、相当努力していかなければいけないですね。