Google は 2025 年 11 月 4 日(米国時間)、ChromeOS 142 の安定版 (Stable) に関する企業および教育機関の管理者向けリリースノートを公開しました。
今回のリリースでは、証明書プロビジョニング機能の刷新や自動ログアウトポリシーの導入など、セキュリティと管理面で重要な更新が行われています。
Chromebook や ChromeOS Flex を管理する企業・教育機関の IT 管理者は、内容を確認し今後の展開に備えることが推奨されます。
ChromeOS 142 の主な変更点
以下は、ChromeOS 142 で導入予定の主な変更点です。
証明書プロビジョニングの刷新
ChromeOS の証明書プロビジョニング機能が大幅に強化され、Dynamic SCEP および ECC 鍵 に対応しました。これにより、より高速かつセキュアな証明書登録が可能になります。
- Dynamic SCEP : 柔軟で安全な証明書発行プロセスを実現
- ECC 鍵サポート : 従来の RSA 鍵よりも軽量・高速に動作
詳細な設定手順は「Configuring Certificate Enrollment for ChromeOS via SCEP」を参照してください。この変更は ChromeOS 138 以降が対象です。
自動ログアウトポリシーの導入
ChromeOS 142 では、新たに「Automatic sign-out policy」が追加されました。
同一ユーザーが複数の ChromeOS デバイスで同時にログインすることを防止し、アカウント共有や不正利用を抑止します。
ユーザーが別のデバイスでログインした場合、以前の ChromeOS デバイスから自動的にログアウトされます。教育現場や共有デバイス環境での安全な運用を支援する機能です。
設定方法は AutoSignOutEnabled ポリシー のドキュメントを参照してください。
Google チャットの提供元ドメイン変更
Google チャットの Web アプリ提供元が従来の mail.google.com/chat から chat.google.com に移行します。この変更により、チャットの読み込み速度と信頼性が向上します。
- エンドユーザー: 従来のブックマークはそのまま利用可能
- 拡張機能開発者 / 管理者: チャットドメインを利用する拡張機能や URL 制御設定を更新する必要があります
この変更は 2025 年 11 月 14 日から段階的に展開され、2026 年 1 月末までに完了する予定です。
今後の変更予定
以下は、今後の ChromeOS のアップデートで導入が予定されている変更です。ただし、これらはあくまでも予定であり、変更されたり廃止される可能性もあります。
USB 接続プリンタの管理対応 (ChromeOS 143)
ChromeOS 143 以降では、ネットワーク経由だけでなく USB 接続プリンタの管理 に対応予定です。
管理者は Vendor ID や Product ID を指定して USB プリンタを制御できるようになります。これにより、ローカル接続しかできないプリンタの統合管理が可能になります。
データリカバリ履歴の透明性向上 (ChromeOS 144)
ChromeOS 144 以降では、デバイスのローカルデータリカバリ履歴が 改ざん防止型のプライバシー保護台帳 に記録され、ユーザーが確認できるようになります。
これにより、不正アクセスや不明なリカバリ試行を簡単に検出でき、デバイスセキュリティがさらに向上します。
まとめ
ChromeOS 142 では、証明書の動的プロビジョニング対応や同時ログイン制御、チャットの新ドメイン移行など、企業・教育機関の運用に関わる実践的な改善が含まれています。
特に自動ログアウトのポリシーは、アカウント共有の防止策として重要な更新ですが、複数のデバイスで同時にログインしたいユーザーには少し抵抗があるかもしれません。
管理者はポリシー設定や拡張機能の動作確認を行い、次期バージョンで予定されている USB プリンタ管理やデータリカバリ履歴機能にも備えることをおすすめします。
ChromeOS の詳細な変更点やポリシー設定方法は、公式ドキュメント「Chrome Enterprise and Education Release Notes」を参照してください。
なお、ChromeOS 142 安定版のメジャーアップデートは、2025 年 11 月 11 日に予定されています。


