Google は、ソフトウェア開発の大きなボトルネックとなっている「既存コードの理解」を高速化する新サービス「Code Wiki」を公開しました。
これはコードリポジトリを解析して最新のドキュメントを自動生成する仕組みで、Gemini と連携した高度なコード理解支援も利用できます。
Google によると、従来の静的ドキュメントでは難しかったコード全体の把握を、常に最新・構造化された状態で提供できる点を大きな強みとして挙げています。
自動で最新化されるコードドキュメントを生成
Google は「世界中の情報を整理してアクセスしやすくする」というミッションのもと、コード理解そのものが開発プロセスの大きなボトルネックになっていると指摘しています。
Code Wiki は、静的なファイルではなく「ドキュメントを生かし続ける」システムとして構築され、リポジトリ全体を解析し、以下の特徴を持つドキュメントを自動生成します。
コード変更に応じて常に最新化
Code Wiki はリポジトリの更新を検知すると、コードベース全体をスキャンし、ドキュメントを自動で再生成します。これにより、ドキュメントがコードの進化とともに常に最新の状態に保たれます。
リポジトリ全体を理解した Gemini に質問可能
生成された wiki は、統合されたチャット機能のナレッジベースとして活用されます。これにより、汎用的な AI モデルでは難しい、リポジトリ固有の文脈(エンドツーエンドの知識)を踏まえた具体的な質問応答が可能になります
コードへのリンクを統合し、探索も容易に
wiki の説明やチャット回答から、該当するコードファイル、クラス、関数へ直接ジャンプできます。これにより、ドキュメント閲覧とコード探索がシームレスに統合されます。また、アーキテクチャ図、クラス図、シーケンス図も自動で生成され、複雑な構造を視覚的に把握できます。
パブリックプレビュー版の Code Wiki サイトを公開
今回公開された Code Wiki サイトでは、公開リポジトリ(オープンソース)を対象に自動生成された wiki を誰でも閲覧できます。
Google は、この AI を活用したアプローチにより、新規コントリビューターが最初のコミットに到達するまでの時間を短縮したり、シニア開発者が新しいライブラリを数日ではなく数分で理解できるようになると説明しています。
企業向けには「Gemini CLI Extension」も提供予定
Google は、企業や組織が保持するプライベートリポジトリでも Code Wiki を利用できるよう、Gemini CLI 向けの拡張機能を提供予定です。
特に、元の作成者がすでに在籍していないレガシーコードの理解は大きな課題ですが、この拡張機能を利用すると、社外にコードを出すことなくローカル環境でセキュアに wiki の生成・更新が可能になります。
現在、Gemini CLI 拡張機能のウェイトリストが公開されています。
まとめ
Google は、開発者がコードの解読に時間を取られず、本来の開発業務に集中できる環境を目指して Code Wiki を提供したと説明しています。
コード更新に合わせて自動でドキュメントが再生成され、Gemini によるコード理解支援も統合されたことで、既存コードの把握にかかる手間が大幅に減ることが期待されます。
Code Wiki は以下から利用できます。


