Google は、巧妙化するオンライン詐欺からユーザーを保護するため、メッセージアプリやアカウント復旧機能、教育プログラムに関する 6 つの新しい取り組みを発表しました。
近年、AI 技術の進化により、声の複製や偽映像(ディープフェイク)を利用した詐欺が増加しています。これらは非常に見分けがつきにくく、誰もが被害に遭う可能性があります。
このような脅威に対し、Google はプロダクトに安全機能を組み込み、被害を未然に防ぐことを目指しています。
Google メッセージの安全性を強化
日常的に使われるテキストメッセージは、詐欺師が悪質なリンクを送りつける主要な手口です。Google はこのリスクに対応するため、Google メッセージに 2 つの新しい保護機能を導入しました。
安全なリンク警告
スパムと判定されたメッセージ内のリンクを開こうとすると警告が表示され、危険なサイトへのアクセスがブロックされます。ユーザーが「スパムではない」と明示的にマークしない限り、リンク先へは移動できません。
この機能はすでに世界中の Google メッセージ利用者に提供されています。

「Key Verifier」でなりすましを防止
Android 向けの新機能「Key Verifier」は、メッセージをやり取りしている相手が本人であることを確認する仕組みです。
信頼できる相手の QR コードをスキャンすることで、エンドツーエンドで暗号化された通信が意図した相手との間で行われていることを確認できます。これにより、なりすましや不正行為のリスクを大幅に軽減できます。
「Key Verifier」は Android 10 以降のデバイスで利用可能です。

Google アカウントの復旧を支援する新ツール
アカウントへの不正アクセスを防ぐだけでなく、万が一の場合に備えた復旧方法も拡充されています。
アカウント復元用の連絡先
個人アカウントの安全な復旧を支援する新機能として「アカウント復旧用の連絡先(Recovery Contacts)」が導入されました。
信頼できる友人や家族を事前に登録しておくことで、パスワードやデバイスを紛失した際に、その連絡先を通じて本人確認を行い、安全にアカウントへのアクセスを回復できます。
設定は Google アカウントの「セキュリティ」ページから行えます。

電話番号によるログインでの復旧
新しい Android デバイスへの機種変更時などに、アカウントの復旧をより簡単にする「電話番号によるログイン」機能も導入されます。
この機能では、新しい端末でアカウントを設定する際、従来のパスワードではなく、旧端末のロック画面のパスコードを使って本人確認を行います。
この仕組みにより、パスワード入力が不要となり、よりスムーズに復旧できます。機能は段階的に世界各地へ展開される予定です。
教育と啓発による詐欺対策の推進
Google はツールによる保護だけでなく、ユーザー自身の知識向上も支援しています。
インタラクティブ学習ゲーム「Be Scam Ready」
詐欺や不正行為の手口を体験的に学べる学習ゲーム「Be Scam Ready」が公開されました。
このゲームは、実際の詐欺シナリオを模した安全な環境でプレイでき、ユーザーが詐欺の特徴を見抜き、対処する能力を養うことを目的としています。
高齢者や若年層を対象とした支援活動
Google は全米サイバーセキュリティ協会(NCA)と連携し、インターネット利用者に向けて詐欺防止のための教育資料を配布しています。
さらに、AARP、Amazon、Walmart と協力して「全米高齢者詐欺対策センター(NEFCC)」を共同設立し、高齢者を狙う詐欺への対策を強化しています。
今月にはニューヨーク(10 月 21 日)とマウンテンビュー(10 月 28 日)の Google ストアで、詐欺防止に関するワークショップの開催も予定されています。
まとめ
Google は、メッセージ、アカウント、教育の 3 つの分野から多層的に詐欺対策を進めており、AI 時代に適応した、より安全なデジタル環境の構築を目指しているとしています。
出典: Google