Google が配信を開始した 2025 年 10 月の Pixel スマートフォン向けアップデートにより、ADB コマンドやサードパーティアプリを利用して VoLTE や 5G を強制的に有効化する方法が無効化されたことが明らかになりました。
これまで非対応地域のユーザーが利用してきた「Pixel IMS」アプリなども動作しなくなっていますが、日本国内の正規キャリアで利用しているユーザーには影響しません。
非対応地域での「Pixel IMS」などが動作不能に
PiunikaWeb によると、Pixel 7 から Pixel 10 シリーズのユーザーから、最新ビルド(Pixel 10 では BD3A.251005.003.W3、Pixel 7 〜 Pixel 9 では BP3A.251005.004.B1)を適用した後、ADB 経由でのキャリア設定上書きが不可能になったとの報告が相次いでいます。
これまで一部のユーザーは「Pixel IMS」などのアプリを用いてキャリア設定を変更し、対応外の地域でも VoLTE、VoWiFi、5G を有効化していましたが、今回のアップデートによりアプリが起動直後にクラッシュするようになっています。
Google、セキュリティ強化の一環として ADB 操作を制限
開発者コミュニティによると、この変更は 12 月のセキュリティパッチで全 Android デバイスに適用される予定の修正を、Pixel 向けに先行して導入したものです。
GrapheneOS の開発チームは、12 月の Android セキュリティアップデート内で「ADB シェル経由でのキャリア設定上書きを全面的に禁止する修正」が予定されていると指摘しており、今後は Pixel 以外のデバイスにも同様の制限が広がる見込みです。
Google はこれをセキュリティ強化の一環として実施しており、キャリア設定やネットワーク構成を外部から変更できる仕組みを排除することで、悪意あるアプリや不正な操作から通信機能を保護する狙いがあるとみられます。
近年、Android では ADB 権限を利用した設定改変を制限する流れが強まっており、今回の対応もその延長線上にあると考えられます。
GrapheneOS は独自の恒久対策を導入
一方、セキュリティ重視のカスタム OS である GrapheneOS では、こうした変更に備え、VoLTE、VoNR、5G を OS レベルで強制的に有効化できるトグルを追加しています。
この機能は、標準設定で対応していないキャリア向けに通信機能を手動で有効化できるようにするもので、2025 年 10 月 3 日リリース版(2025100300)以降で実装されました。

VoWiFi については現時点で正式対応が明記されておらず、すべての通信事業者で動作するわけではありませんが、Google が進める権限管理の厳格化に対して柔軟に対応している点は注目に値します。
日本国内の Pixel ユーザーは影響なし
今回の変更は、Pixel が公式に販売・サポートされていない国や地域で発生しているもので、日本国内の Pixel スマートフォン利用者には影響はありません。
NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルといった国内主要キャリアでは、Pixel 向けに VoLTE、5G が正式対応しており、特別な設定やアプリを使う必要はありません。
日本国内の Pixel シリーズについては、今後も従来どおり各キャリアのネットワーク機能を問題なく利用できる見込みです。
ただし、ADB を利用した非公式な設定変更やネットワーク調整を行っている場合、今後のアップデートでさらに制限が強化される可能性があります。
Google は Android 全体でセキュリティと信頼性を高める方向に舵を切っており、こうした制御は恒久的な仕様変更となる見込みです。
出典: PiunikaWeb