Google Pixel シリーズのリークは珍しくありませんが、今回は発売に至らなかった幻のモデル「Google Pixel 4 5G」に関する情報が明らかになりました。
この情報は Android Authority が報じたもので、開発がキャンセルされた 5G 対応の Google Pixel 4、コードネーム「needlefish」とされるデバイスの実機写真を公開しました。
リークされた「Pixel 4 5G」の主な特徴
公開された情報から、このプロトタイプ、コードネーム「needlefish」の主な特徴は以下の通りです。
- 外観: Google Pixel 4 XLをベースにした設計で、内部に5Gミリ波(mmWave)用のアンテナを追加で搭載。
- プロセッサ: Snapdragon 855
- モデム: プロセッサとは独立した、スタンドアロン型のQualcomm X55
- RAM: 8GB (当時のPixel 4から増強)
外観は Google Pixel 4 XL に非常によく似ており、ディスプレイ上部のベゼルには、顔認証用の IR (赤外線) カメラや、ジェスチャー操作を実現する Soli レーダーが搭載されていることが確認できます。



しかし、内部構造には大きな違いが見られ、本体の側面には、通常の Pixel 4 XL には存在しない mmWave (ミリ波) アンテナモジュールが複数配置されています。
製品化が見送られた技術的な背景
このデバイスが製品化されなかった理由として、当時の 5G 技術の成熟度にあると考えられています。搭載されているスタンドアロン型 5G モデムは、黎明期特有の課題として、プロセッサと別チップであるため電力消費が大きく、発熱やバッテリー駆動時間への影響が懸念されていました。
競合である Apple が初の 5G 対応モデル「iPhone 12」を発売したのは 2020 年で、電力効率に優れた統合型モデムを搭載していました。Google も同様に、過渡期の技術で市場投入を急ぐのではなく、技術が成熟するのを待つという堅実な判断を下したと考えられます。
当時、Qualcomm は 5G モデムを統合した次世代プロセッサ「Snapdragon 765」の開発を進めていましたが、その提供は「needlefish」の開発時期より後でした。
Google の 5G 開発におけるテスト用デバイスの可能性
これらの背景から、「needlefish」は市販を目的とした製品ではなく、Google が本格的な 5G 対応スマートフォン (後の Pixel 5) を開発する前に、5G 技術(特に実装が難しいとされる mmWave)の評価や学習を行うためのテスト用デバイスであった可能性が非常に高いです。
既存の Pixel 4 XL の設計を流用することで、コストを抑えながら 5G のハードウェアやソフトウェアの課題を洗い出すための、いわば「先行開発プロトタイプ」だったと考えられ、Snapdragon 765 のような成熟した統合型チップが登場するまでの「つなぎ」としての役割を担っていた可能性があります。
一方、Snapdragon 855 とスタンドアロンモデムという構成は、市場に投入する時点では時代遅れになるため、製品化の見送りは合理的な判断だったと言えます。
その後、モデム統合型の Snapdragon 765G を搭載した「Pixel 5」を、Google 初の 5G スマートフォンとして世に送り出しました。
まとめ
今回リークされた Google Pixel 4 5G「needlefish」は、Google が本格的な 5G スマートフォンを市場に投入する前に、内部で技術的な評価と経験を積むために開発した、重要なステップの一つであったと結論付けられます。
このプロトタイプでの先行開発があったからこそ、Pixel 5 は比較的安定した 5G 接続を提供できたのかもしれません。