Samsung の新型タブレット Galaxy Tab S11 シリーズが、Android 上で Linux アプリを実行できる新機能をサポートしていることが明らかになりました。
この機能は、Galaxy Tab S11 に搭載されている MediaTek 製のチップセットで初めてサポートされた点でも注目されます。
Linux アプリを動かす「Linux ターミナル」とは
今年初め、Google は Android デバイス上で Linux プログラムを実行可能にする「Linux ターミナル」アプリを Google Pixel デバイスで導入しました。
このアプリは、一般的な Linux ディストリビューションである Debian を仮想マシン (VM) 上で起動させます。
これにより、ユーザーは Android でネイティブにサポートされていない、開発者向けのツールや高度なプログラムを利用できるようになります。対応するデバイスであれば、Linux PC として活用できます。
なぜ一部のデバイスしか対応していなかったのか
Linux ターミナルアプリの利用には、デバイスが 2 つの要件を満たす必要がありました。
- Android Virtualization Framework (AVF) のサポート: Android 15 QPR2 以降のバージョンが必要です。
- チップセットのサポート: チップセットが「保護されていない VM (unprotected VMs)」の実行をサポートしている必要があります。これは、ホスト OS である Android が仮想マシンのメモリにアクセスできるタイプの仮想マシンを指します。
とくに 2 つ目の要件が、これまでデバイスによって対応が分かれる主な理由でした。
例えば、Samsung の Galaxy Z Fold7 (Snapdragon 搭載) は非対応でしたが、兄弟機の Galaxy Z Flip7 (Exynos 搭載) は対応しているなどです。
Galaxy Tab S11 が搭載する MediaTek チップで初の対応
Galaxy Tab S11 シリーズは、これまでの Snapdragon や Exynos とは異なり、MediaTek の Dimensity 9400+ チップセットを搭載しています。
このチップセットが Linux ターミナルの要件を満たすかはこれまで不明でしたが、今回、Android 16 ベースの One UI 8 を搭載した実機で動作することが確認されました。
これにより、MediaTek 製チップセットとして初めて Linux ターミナルアプリをサポートする例となります。
また、同じ MediaTek チップを搭載する Xiaomi 15T シリーズも、将来の Android 16 ベースの Xiaomi HyperOS 3 のアップデートによって同機能に対応する見込みです。
これは、今後の Dimensity 9400 シリーズを搭載したデバイスが、メーカー側で意図的にブロックしない限り、標準的に Linux アプリをサポートする可能性を示唆しています。
DeX との連携で生産性が飛躍的に向上
Android タブレットで Linux アプリが動作する初の例は Google Pixel Tablet でしたが、Galaxy Tab S11 シリーズはより強力なプロセッサ、豊富なメモリ、そして「外部ディスプレイ出力」という大きな利点を持ちます。
さらに、Samsung 独自の「Samsung DeX」機能と組み合わせることで、ユーザーは Galaxy Tab S11 シリーズを外部モニターに接続し、デスクトップ PC のようなマルチウィンドウ環境で、本格的な Linux アプリケーションを操作できます。

これにより、外出先や自宅でタブレットを使い、コーディング、サーバー管理、専門的なデータ分析など、これまで PC が必要だった高度な作業を手軽に行えるようになります。
まとめ
Galaxy Tab S11 シリーズでの対応を皮切りに、今後はさらに多くの MediaTek 搭載デバイスで Linux Terminal が利用可能になることが期待されます。
また、Dimensity 9300 を搭載した Galaxy Tab S10+ などの既存モデルへのアップデート対応や、多くのハイエンドデバイスで採用されている Snapdragon チップセットの対応にも期待です。