MediaTek は、新しいミッドレンジスマートフォン向けチップセット「Dimensity 7360」を発表しました。
このチップセットは、前モデルである「Dimensity 7300」をベースにしており、主にソフトウェアの最適化によって性能向上を図ったリフレッシュ版と位置づけられています。
Dimensity 7360 の主な仕様
「Dimensity 7360」は、TSMC の 4nm プロセスで製造され、CPU は 4 つの高性能 Arm Cortex-A78 コア (最大 2.5GHz) と 4 つの高効率 Arm Cortex-A55 コアで構成されています。
主な仕様は以下のとおりです。
- CPU:
- 最大 2.50GHz (Arm Cortex-A78) × 4
- Arm Cortex-A55 × 4
- GPU: Arm Mali-G615 MC2
- AI プロセッサ: MediaTek NPU 655
- メモリ: LPDDR4x, LPDDR5
- ストレージ: UFS 3.1
ゲーミング性能と AI 機能
ゲーミング性能の向上も図られており、「MediaTek Adaptive Gaming Technology 3.0 (MAGT 3.0)」をサポートしています。
これにより、ゲーム中のグラフィック品質とパフォーマンスのバランスを自動的に調整し、バッテリー消費を抑えながら安定したフレームレートを維持します。
MediaTek は、競合プラットフォームと比較して最大 20% 高いフレームレートと電力効率を実現すると主張しています。
AI 処理を担当する NPU 655 は、混合精度データ型をサポートすることで、特にカメラ関連のタスクにおける効率を高めています。
カメラとディスプレイ機能
カメラ機能については、12-bit HDR-ISP の「Imagiq 950」を搭載し、最大 200MP のメインカメラをサポートします。
リアルタイムでの HDR ビデオ録画や、モーション補正ノイズリダクション (MCNR)、ハードウェアベースの顔検出 (HWFD) などの高度な機能も利用可能です。
MediaTek によると、4K HDR ビデオ録画では、競合製品よりも 50% 以上広いダイナミックレンジを実現しているとのことです。
ディスプレイは「MiraVision 955」により、WFHD+ 解像度と 10-bit カラーをサポートし、より高品質な映像表示が可能です。
接続性
接続性に関しては、最大 140MHz の帯域幅を利用する 3CC のキャリアアグリゲーションに対応した 5G 通信をサポートし、最大 3.27Gbps のダウンロード速度を実現します。
また、Wi-Fi 6E や Bluetooth 5.4、LE Audio、Dual-Link True Wireless Stereo Audio にも対応しています。「Lightning Connect」技術により、Bluetooth デバイスとの接続も高速化されています。
まとめ
「Dimensity 7360」は、前モデル「Dimensity 7300」のハードウェア構成をほぼ引き継ぎつつ、ソフトウェアの最適化によってゲーミング性能やカメラ機能を強化したチップセットです。
完全な新設計ではありませんが、ミッドレンジスマートフォン市場において、バランスの取れた性能と高い電力効率を提供することが期待されます。
なお、MediaTek からは最新のフラッグシップチップ「Dimensity 9500」も発表されています。詳細は以下の記事をご覧ください。
出典: MediaTek