Google は 2025 年 8 月 28 日、Google Workspace の月例アップデート「Workspace Drop」の内容を発表しました。
今回のアップデートでは AI 機能の強化に重点が置かれており、Google スプレッドシート、NotebookLM、Google チャット、Google Meet など、多岐にわたるアプリケーションで生産性を向上させる新機能が追加されています。
なお、ほとんどの機能は 6 月頃から展開を開始しているもので、一部、言語や地域の制限はありますが、多くのユーザーで利用可能になっています。
Google スプレッドシート: AI 関数の導入
Google スプレッドシートに搭載されている AI 関数が強化され、テキストの大規模な生成、分類、分析がより簡単になりました。
セルに =AI
と入力し、続けて Gemini への指示を記述するだけで、指定した範囲のデータに対してリクエストを実行できます。
この機能は、ユーザーからのフィードバックの分類、製品レビューの要約、パーソナライズされたメールの作成といった作業を、データやスプレッドシートの専門知識がなくてもすばやく行うことを可能にします。
また、これらの AI 機能は、日本語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、ドイツ語にも対応し、より多くのユーザーが母国語で作業できるようになりました。
NotebookLM: ドキュメントから動画解説を生成する新機能
研究や情報整理のためのツールである NotebookLM に、ドキュメント、スライド、グラフなどの情報源から、ナレーション付きの動画を生成する新機能「動画解説」が追加されました。
この機能では、動画の焦点、対象者、学習したい内容などを指定することで、ソースから画像や図、引用を自動的に抽出し、共有可能な動画を生成します。
さらに、1 つのノートブック内に複数の「音声解説」を作成・保存できるようになったほか、各バージョンに共有可能なリンクを生成する機能も改善されました。
各種アプリに AI を活用した要約機能が追加
Google チャットと Google Meet
Google チャットでは、Gemini がリンクされたファイルを要約する機能が強化されました。PDF、Office ファイル(.docx, .xlsx, .pptx)、.csv、.txt、.zip ファイルなど、Workspace 以外の一般的な形式のファイルも、会話から離れることなく内容を要約できます。
Google Meet では、Gemini が自動生成した会議のメモと要約を、通話後に受け取る参加者をホストが選択できるようになりました。これにより、適切なメンバーに必要な情報を効率的に共有できます。
Google フォームと Google ドキュメント
Google フォームでは、収集した回答を Gemini が要約する機能が追加されました。フォームのタイトル、説明、質問、そして回答内容から、主要なテーマや要点を抽出し、手作業でデータを確認することなくインサイトを得られます。
また、Google ドキュメントのモバイル版(iOS および Android)でも AI による要約機能が利用可能になりました。この機能は 20 以上の言語に対応しており、外出先でもすばやく文書の内容を把握できます。
Vids と スライド: AI による画像編集と音声調整機能
動画作成ツールである Google Vids には、ナレーション、ビデオクリップ、BGM の音量を自動で調整する「バランスサウンド」機能が追加されました。
また、Google スライドと Vids の両方で、AI を活用した新しい画像編集機能が導入されます。簡単な指示(プロンプト)で画像の背景を置き換えたり、画像の内容を拡張してスペースに合わせたり(例:山の風景にテントを追加する)することが可能になります。
Google ドライブ: PDF フォームへの直接入力と大規模文書の分析に対応
Google ドライブ上で、デジタルフォームフィールドが含まれる PDF に直接入力し、保存できるようになりました。これにより、タブを切り替える手間なく作業を完了できます。
さらに、ドライブ内の Gemini は 1M トークンのコンテキストウィンドウに対応し、長文の PDF ドキュメントでも直接分析や要約が可能になりました。
まとめ
2025 年 8 月の Google Workspace アップデートは、AI を活用して日々の業務を効率化し、インサイトの発見を容易にすることに焦点を当てています。
Google スプレッドシートでのデータ処理から、NotebookLM での新しいコンテンツ生成、各種アプリでの要約機能まで、多岐にわたる強化が行われました。これらの新機能は、現在 Google Workspace のユーザー向けに順次展開されています。