多くの人が個人のスマートフォンで仕事の社内リソースにアクセスする Bring Your Own Device (BYOD) モデルが普及するなか、Google は 2025 年 8 月 12 日(海外では 7 月 22 日)、iOS 版 Chrome ブラウザにおいて、仕事用と個人用の Google アカウント(プロファイル)をシームレスに切り替える機能を提供開始したことを発表しました。
このアップデートにより、仕事用の閲覧データが個人用と明確に分離され、企業のデータ保護が強化されます。
iOS でアカウントの切り替えとデータの分離がより簡単に
これまでデスクトップ版 Chrome や Android では、仕事用プロファイルと個人用プロファイルを分離する機能が提供されていましたが、今回のアップデートで iOS ユーザーも同様の機能を利用できるようになりました。
ユーザーが iOS 版 Chrome で会社などが管理するアカウントにログインすると、そのアカウントでの閲覧データ (タブ、履歴、パスワードなど) は、デバイス上の他のブラウジングデータから分離されます。
これにより、仕事とプライベートのオンラインアクティビティが混在することを防ぎ、ログインとログアウトを繰り返す手間なく、安全かつ直感的にアカウントを切り替えることが可能になります。

ユーザーが管理対象アカウントに初めてログインする際には、データが組織によってどのように扱われるかが明確に示されるため、透明性も確保されています。
この機能により、企業は従業員が個人のデバイスを業務で利用することを許可しやすくなり、IT 管理者と従業員の双方にとって安心感が高まります。
モバイルデバイス向けの高度なデータ保護機能も強化
今回の発表では、iOS と Android の両方で利用できる、企業向けの高度なセキュリティ機能の拡張も明らかにされました。
レポート機能の拡張
Chrome Enterprise のレポート機能がモバイルにも拡張され、組織はセキュリティ関連のイベントデータを Google 管理コンソールや任意の SIEM (Security Information and Event Management) ツールに送信できるようになりました。
これにより、モバイルデバイスを含むすべてのブラウザアクティビティのリスクを把握しやすくなり、IT 管理者は組織全体のセキュリティ体制について、より的確な意思決定を下せます。
URL フィルタリングが iOS でも利用可能に
デスクトップ版と Android 版で提供されていた URL フィルタリング機能が、iOS 版 Chrome でも利用可能になりました。この機能により、IT 管理者は従業員が未承認の Web サイトにアクセスすることを制限できます。
例えば、企業が許可していない生成 AI サービスへのアクセスをカテゴリレベルでブロックし、承認されたサービスにリダイレクトさせることで、シャドー IT (管理部門が把握していない IT サービスの利用) のリスクを防ぐことができます。
まとめ
今回の Chrome のアップデートは、特に iOS デバイスを使用した BYOD 環境で働く従業員と、それを管理する企業にとって、利便性とセキュリティを両立させることが可能になります。
個人デバイスでの業務利用がさらに安全かつスムーズになることで、より柔軟な働き方が促進されることが期待されます。