Kompanio Ultra 搭載 Chromebook の開発状況まとめ【2025年10月】

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Kompanio Ultra 搭載 Chromebook の開発状況まとめ

この記事では、MediaTek の高性能プロセッサ Kompanio Ultra 910(MT8196) を搭載する開発中の Chromebook Plus について、現在判明している情報を整理してお伝えします。

Kompanio Ultra 910 はすでに Lenovo Chromebook Plus Gen 10 や Acer Chromebook Plus Spin 514(CP514-5HN) の 2 機種に搭載されていますが、現在はさらに 1 機種の新しいデバイスが開発中であることが確認されています。

Chromium Gerrit などの公開コードに基づく開発情報を整理したもので、製品化や最終仕様を保証するものではありません。内容は今後変更される可能性があります。

目次

Kompanio Ultra を搭載するリファレンスボードの系譜

リファレンスボードは、各メーカーが Chromebook の開発に着手する前の段階で検証などに使用される設計基盤です。

Kompanio Ultra 910 (MT8189) を搭載する Chromebook のリファレンスボードには、もともと「Rauru」と呼ばれるものがありました。

この「Rauru」は、すでに発売されている「Navi ( Lenovo Chromebook Plus Gen 10)」と「Hylia (Acer Chromebook Plus Spin 514 CP514-5HN)」の 2 機種の基になっています。

その後、この「Rauru」の設計をベースにした新しいリファレンスボード「Tanjiro」が追加され、現在開発が進められている「Sapphire」はこの 「Tanjiro」がベースに派生したものです。

Chromium Gerrit

「Rauru」がクラムシェルおよびコンバーチブルタイプ向けであったのに対し、「Tanjiro」はタブレットデバイス向けの設計とみられます。これにより、同じ Kompanio Ultra 910 を搭載しながらも、形状や用途が明確に分かれています。

開発中のデバイス一覧 (2025 年 10 月時点)

記事執筆時点では、開発中の Kompanio Ultra を搭載する Chromebook Plus は、以下の 1 機種となっています。

Sapphire

「Sapphire」は、Kompanio Ultra 910(MT8196)を搭載するタブレットタイプの Chromebook Plus です。

リファレンスボード「Tanjiro」を基に開発されていることから、着脱式キーボードに対応したタブレットデバイスになることが確認されています。これはすでに発売されている「Navi」と「Hylia」とは異なります。

Chromium Gerrit

着脱式キーボードがあることに加えて、「Sapphire」は磁気式ワイヤレス充電 USI ペンをサポートする可能性が示唆されています。これは過去に「HP Chromebook x2 11」に採用されたペンをワイヤレス充電するための部品を参照するコードから確認されました。

Chromium Gerrit

さらに、もっとも特長的な機能として、LED ライトバーをサポートするコードが見つかっており、8 種類の発光パターン(Solid Colors / Full Fade / Comet / Rainbow Cycle / Bouncing Pulses / Theater Chase Rainbow / Twinkle / Fire) に関する記述や、RGB フルカラー対応を示唆する記述も確認されています。

Chromium Gerrit

つまり、この「Sapphire」と呼ばれるデバイスは、過去の「Google Pixel C」タブレットや「Google Pixel Chromebook」のような LED バーが搭載される可能性があり、Google の新しいタブレットになることも期待されています。

ただし、LED バーについては Google 以外に Lenovo の Chromebook などでも採用されたことがあるため、Google 製のデバイスかは確定ではありません。

Kompanio Ultra の詳細と発売済みのモデル

MediaTek の Kompanio Ultra 910 (MT8189) は、2025 年 4 月 2 日に発表された最新の Chromebook 向けフラッグシッププロセッサです。

MediaTek によれば、Intel Core 5 Ultra と比較して、パフォーマンスはシングルコアが最大 18% 向上、マルチコアも 40% 向上しながら、消費電力は半分になるというのがこのチップの特長です。これにより、パフォーマンスを落とさずにバッテリー駆動時間は 60Wh バッテリーで最大 20 時間可能とされています。

さらに、Kompanio Ultra は Google Gemini との連携も考慮されており、50 TOPS の AI 処理性能を備えており、オンデバイスでも効率良く AI 処理を実行できます。

すでに MediaTek Kompanio Ultra 910 を搭載した Chromebook Plus は 2 機種が発売されており、そのうち 1 機種は日本でも販売されています。

実際に筆者は、海外で「Lenovo Chromebook Plus Gen 10」の発売時に購入をして、実機レビューをしています。詳しいことは以下のレビュー記事をご覧ください。

なお、別の記事では上記の 2 機種の仕様などを比較した記事も公開していますので、両者のスペックなどを見たい方は、そちらの記事もご覧ください。

まとめ

現時点で確認できている Kompanio Ultra 910 搭載の開発中 Chromebook Plus は 「Sapphire」 の 1 機種のみです。

着脱式キーボード対応のタブレット構成、ワイヤレス充電 USI ペン、そして LED ライトバーという特徴から、従来のクラムシェル型 Chromebook Plus とは異なる方向性を持つモデルになる可能性があります。

まだ開発段階ではありますが、初めての Chromebook Plus を冠するタブレットデバイスとして登場する可能性もあります。

出典: Chromium Gerrit

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著者情報

HelenTech の運営をしている 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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