Google Pixel シリーズで「突然死」報告が相次ぐ。EU では保証対応を巡り苦情が寄せられる

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Google Pixel 8 Pro のリアパネルの写真

Google の Tensor チップを搭載した Pixel スマートフォンで、電源が入らなくなる「突然死」問題が複数報告されています。

特に Pixel 6、Pixel 7、Pixel 8 シリーズで発生しており、EU では保証対応を巡って消費者保護機関に苦情が寄せられています。

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EU で報告された Pixel 8 の保証トラブル

この問題が注目を集めたきっかけは、ポルトガルのユーザーが Reddit に投稿した Pixel 8 の保証トラブルです。

ユーザーは通常どおり充電していたところ、端末が突然起動しなくなり、修理を依頼しました。ところが、Google は「液体による損傷」を理由に保証対象外とし、損傷を示す写真や診断記録などの証拠は提示しなかったとされています。

EU の消費者保護指令(Directive 2019/771)では、販売者が保証を拒否する場合、その理由を立証する責任があります。証拠が提示されない場合、欠陥は販売時点から存在していたとみなされるため、今回の対応は問題視されています。

そのため、投稿者はこの件をポルトガルの消費者保護機関および EU 越境消費者センター(ECC-Net)に報告したと伝えています。

投稿者は「EU では販売者側が誤用を証明しなければならない。Google はそれを行わなかった」と述べ、同様の対応を受けた場合は ECC-Net に相談するよう他のユーザーに呼びかけています。

Pixel 6〜8 シリーズで同様の報告が拡大

Pixel 8 だけでなく、Pixel 6 や Pixel 7 シリーズでも「夜間や充電中に突然電源が入らなくなった」、「充電ランプが点かず、まったく起動しない」といった報告が複数寄せられています。

多くのケースではマザーボードの故障と診断され、修理費用が高額になる傾向があります。

一部の修理業者によると、Tensor チップ周辺に熱による劣化の痕跡が見られる個体もあるようです。現時点で故障の原因は明らかではありませんが、熱や電力設計との関連が疑われています。

筆者がこれまでに複数の Tensor 搭載 Pixel を使用してきた印象としても、長時間の処理や撮影時には発熱が強い傾向があり、ハードウェアへの負荷が蓄積しやすい設計であると感じます。ただし、Pixel 9 / Pixel 10 シリーズでは改善されたとも感じています。

Tensor チップの影響は?

Google が独自開発した Tensor チップは、AI 処理性能の高さが評価される一方で、発熱や消費電力に関する課題が指摘されてきました。

もし熱や電力設計がハードウェア故障に関係している場合、Google が掲げる「7 年間のアップデート保証」にも影響を及ぼす可能性があります。ハードウェアが正常に動作しなければ、長期的なソフトウェアサポートの意味が薄れるためです。

Google は現時点でこの件に関する公式コメントを発表しておらず、大規模なリコールや無償修理プログラムも実施していません。ただし、同様の報告が少しずつ増えており、サポート対応の不透明さを指摘する声も広がっています。

保証対応の透明性が課題に

今回のケースでは、Google が診断結果や判断の根拠を提示しなかったことが批判の対象となりました。

EU では販売後のサポートや保証対応における透明性が重視されており、企業側が説明責任を果たすことが求められます。Google の対応次第では、今後の保証体制やサポート運用に影響が出る可能性があります。

Tensor チップを採用した Pixel シリーズの信頼性が問われるなか、Google がどのようにユーザーの不安を解消し、サポート体制の改善につなげていくのかが注目されています。

7 年間のアップデート保証という強みを活かすためにも、ハードウェアの安定性とアフターサポートの信頼性の両立が今後の課題になりそうです。

出典: PiunikaWeb

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著者情報

HelenTech を運営している 尾村 真英 です。これまでに 50 台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動し、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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