Google は 2025 年 10 月にリリースした ChromeOS 141 安定版において、Chromebook のバッテリー寿命を延ばすための新しい設定項目「充電の最適化」と、バッテリーの充電上限を 80% に制限するための新しい「充電の上限」設定を導入しました。
この機能は、ChromeOS 135 の時点では Google Workspace 管理者のみが設定可能なポリシー機能として導入されていましたが、ChromeOS 141 からは、個人の Google アカウントおよび Google Workspace アカウントにおけるユーザー向けの設定項目として追加されています。
この記事では、Chromebook で「充電の上限」を設定する方法を解説します。
ユーザー向け:Chromebook で「充電の上限」を設定する方法
ChromeOS 141 では、バッテリーの充電を最大 80% に制限できる 「充電の上限」が正式に追加されました。この機能を有効にすると、バッテリーが常に満充電状態になるのを防ぎ、長期的なバッテリーの劣化を抑制できます。
ユーザーの場合、以下の方法で設定することができます。
- 設定アプリを開く
- [システム環境設定] > [電源] に移動
- 「充電の最適化」項目にある [変更] をクリック
- [充電の上限] を選択


「充電の上限」設定に変更すると、Chromebook を充電しているときの充電アイコンに付く稲妻マークが盾マークに変更されます。これは Pixel スマートフォンなどと同様です。


なお、ChromeOS 141 以前のバージョンを利用している場合や、まだ適用されていないデバイスでは、以下の記事で紹介しているフラグ(実験的機能)を利用することで設定できるようになります。
Workspace ユーザーは管理者の設定が必要
個人の Google アカウントユーザーでは自由に選択できますが、Google Workspace 管理下の Chromebook では管理者ポリシーが優先されます。
Google はこの制御に「DevicePowerBatteryChargingOptimization」ポリシーを使用しており、管理者は組織単位で以下のいずれかの動作を設定できます。
- ユーザーによる決定を許可 – これがデフォルトの設定です。充電オプションはユーザーが選択できます。
- 標準充電を強制的に適用する – 標準速度でデバイスを 100% までフル充電します。
- アダプティブ充電を強制的に適用する – デバイスを 80% まで充電したら、その後の充電を遅らせます。デバイスはユーザーの充電パターンを学習し、フル充電の状態になっている時間を短くすることで、バッテリー寿命を延ばすことができます。
- 制限付き充電を強制的に適用する – デバイスの充電量を 80% までに制限してバッテリー寿命を延ばします。
この設定項目は、管理コンソールの [デバイス] > [Chrome] > [設定] > [デバイス] > [バッテリー充電の最適化] で変更が可能です。

また、このポリシーは従来の「アダプティブ充電モデル (DevicePowerAdaptiveChargingEnabled)」の設定よりも優先されますが、こちらはすでにサポート終了扱いとなっています。
なお、管理者向けの設定ポリシーは ChromeOS 135 の時点で導入されており、当時は管理者専用の設定として提供されていました。
「充電の最適化」設定と 2 種類のモード
今回、「充電の最適化」設定に「充電の上限」が追加されたことにより、従来の「アダプティブ充電」と 2 つの設定を選べるようになりました。
- アダプティブ充電: ユーザーの使用状況に基づき、必要なときまで 100% 充電を遅らせる
- 充電の上限: 最大充電量を 80% に制限する(充電を停止する)
デフォルトでは「アダプティブ充電」が設定されていますが、ユーザーは手動で「充電の上限」に切り替えることが可能です。また、この機能を使用するにあたって「充電の最適化」設定自体をオンにすることも忘れないでください。
当初は ChromeOS 143 で導入予定
「充電の上限」はもともと ChromeOS 143 で導入予定とされていましたが、Google はその実装を前倒しし、ChromeOS 141 で正式展開しています。
これは Google Workspace 管理者向けリリースノートでも明記されており、今後数週間で対応デバイスが順次拡大する見込みです。
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まとめ
ChromeOS 141 で正式導入された「充電の上限」設定により、ユーザーはより簡単に Chromebook のバッテリーの充電設定を管理できるようになりました。
長期間使用するユーザーや組織にとって、この機能は バッテリー保護と運用効率の両面で大きな改善となります。
ただ、記事執筆時点では Google Workspace アカウントのデバイスに強制適用はできるものの、「ユーザーによる決定を許可」に設定しても正しく反映されていないようです。