Google は 2025 年 12 月 12 日(現地時間)、Google 翻訳および Google 検索におけるテキスト翻訳機能に、生成 AI モデル「Gemini」の翻訳機能を統合したことを発表しました。
これにより、単なる言葉の置き換えではない、文脈やニュアンスを汲み取った高度な翻訳が可能になるほか、イヤホンを装着した状態でのリアルタイム通訳機能の対応機種拡大や、アプリ内の語学学習ツールの強化も行われました。
Gemini 統合による翻訳精度の向上
これまでの Google 翻訳は、慣用句やスラング、あるいは特定の地域でのみ通じる言い回しなどは、直訳調になってしまい意味が通じにくいことがありました。
今回、Gemini が統合されることにより、こうした微妙なニュアンスを含むフレーズの翻訳精度が大幅に向上します。

例えば英語の慣用句である「stealing my thunder(私の手柄を横取りする、出し抜く)」を翻訳しようとした際、従来の直訳ではなく、Gemini が文脈を解析し、その状況に最も適した自然な表現を提示してくれるようになります。
このアップデートは本日より米国とインドで順次展開が開始され、Android、iOS、ウェブ版の Google 翻訳で利用可能です。
対象言語は英語と、日本語、スペイン語、ヒンディー語、中国語、ドイツ語などを含む約 20 言語間での翻訳となっています。
イヤホンでのリアルタイム通訳機能の拡大(ベータ版)
テキスト翻訳の強化に加え、Pixel Buds に限定されていた Gemini の音声翻訳機能を活用した「リアルタイム通訳」機能ベータ版が、より多くのイヤホンやヘッドホンでも利用できるようになりました。
これは、イヤホンを装着した状態で Google 翻訳アプリの「ライブ翻訳」をタップすると、相手の言葉がリアルタイムで翻訳されて聞こえてくるというものです。
この機能は、単に言葉を翻訳するだけでなく、話し手のトーンや強調、リズムなどを保持したまま翻訳音声を生成しようとします。これにより、相手がどのような感情で話しているのかが伝わりやすくなります。
これにより、海外旅行での会話だけでなく、外国語の講演を聞いたり、映画を見たりする際にも役立つことが期待されます。
今回のアップデートにより、特定のデバイスに限らず、Android 端末に接続された任意のイヤホンやヘッドホンでこの機能が利用可能になります。
このベータ機能は、現在米国、メキシコ、インドの Android ユーザー向けに展開されており、70 以上の言語をサポートしています。iOS やその他の国への展開は 2026 年の予定です。
語学学習機能の拡充
翻訳機能だけでなく、アプリ内の語学学習ツールも強化されており、スピーキング練習に対するフィードバックが改善されたほか、学習の継続を記録する機能が追加され、日々の進捗を可視化できるようになりました。

これらの機能も対象国が拡大され、ドイツ、インド、スウェーデン、台湾など約 20 カ国で利用可能になっています。
まとめ
今回、Google 翻訳に Gemini の翻訳機能が統合されたことにより、翻訳の精度が向上しただけでなく、リアルタイム翻訳や語学学習など、活用の幅が広がりました。
まずは米国とインドからのスタートとなりますが、テキスト翻訳については日本語も対象言語に含まれているため、今後のアップデートで順次展開されることに期待ができます。
出典: Google Blog


