Qualcomm が「Snapdragon 8 Gen 5」を正式発表。AI・CPU・GPU を大幅強化した準フラッグシップチップ

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Qualcomm は 2025 年 11 月 26 日(現地時間)、新しいプレミアム向けモバイルプラットフォーム「Snapdragon 8 Gen 5」を正式発表しました。

すでに発表された最上位の Snapdragon 8 Elite Gen 5 に続く“準フラッグシップ”の位置づけで、2023〜2024 年に多くのモデルへ搭載された Snapdragon 8 Gen 3 の正統後継となります。従来の「s」シリーズ(8s Gen 4 など)よりも上位に配置されるチップとなります。

今回の Snapdragon 8 Gen 5 では、CPU・GPU・NPU を含む主要コンポーネントが刷新され、特に AI まわりの処理能力と「AI アシスタントの使い勝手」が大きく向上しています。

TSMC の 3nm プロセスを採用したことで電力効率も改善し、より広い価格帯のスマートフォンに最新機能を届けることを目指しています。

目次

Oryon CPU 採用で CPU 性能が 36% 向上

Snapdragon 8 Gen 5 の大きな変化が、独自開発の Qualcomm Oryon CPU を搭載したことです。

構成は 2つの Prime コア+6つの Performance コア で、Prime は最大 3.8GHz、Performance は最大 3.32GHz で動作します。

Qualcomm によれば、前世代 Snapdragon 8 Gen 3 と比較して CPU 性能は 36% 向上、電力効率は 42% 改善とされ、日常利用からゲームまで応答性が大きく改善されています。また、ウェブブラウジング応答性が 76% 向上したと説明しています。

上位モデルである Snapdragon 8 Elite Gen 5(最大 4.6GHz)からはクロックが抑えられているものの、十分にフラッグシップ級のパフォーマンスを提供する設計です。

新アーキテクチャの Adreno GPU、レイトレーシングやメッシュシェーディング対応

GPU は Qualcomm Adreno が新アーキテクチャを採用。Elite モデルが 3 スライス構成であるのに対し、8 Gen 5 は 2 スライス構成です。

GPU のパフォーマンスは 11% 向上し、電力効率も 28% 改善しているため、長時間のゲームプレイでも熱と消費電力を抑えられます。

さらに以下の機能に対応します。

  • ハードウェアレイトレーシング
  • メッシュシェーディング
  • Auto Variable Rate Shading
  • Snapdragon Game Super Resolution

特にメッシュシェーディング対応によって、モバイルでより複雑な 3D 表現が可能になります。

NPU は 46% 高速化。AI アシスタントの起動が「持ち上げるだけ」で可能に

Qualcomm Hexagon NPU は 46% 高速化し、INT2 を含む複数の精度をサポートすることで、大規模言語モデル(LLM)の効率を改善しています。

これにより、Gemini などを用いたオンデバイス AI がより高速に動作し、処理できるタスクの幅も広がります。

また、今回の Snapdragon 8 Gen 5 では Qualcomm Sensing Hub が強化され、マイク入力とセンサー情報を組み合わせて「ユーザーが話し始めようとしている意図」を検出できます。

つまり、スマートフォンを持ち上げただけで AI アシスタントが起動し、ウェイクワード不要で会話を始められる設計です。これは Google の Gemini との連携を強く意識した機能と見られます。

カメラ・マルチメディア・通信機能など

Snapdragon 8 Gen 5 は、カメラ処理から動画撮影、さらに通信周りまで幅広く強化されています。

搭載する 20-bit トリプル AI ISP(Qualcomm Spectra)は、広いダイナミックレンジに対応し、AI ベースの露出・ホワイトバランス・フォーカス制御によって静止画・動画の画質が向上しています。Night Vision 3.0 による低照度動画の改善や、リアルタイムトーンコントロールにも対応します。

カメラ構成は最大 48MP × 3 のトリプル構成や 108MP の単眼カメラをサポートし、スナップショットは最大 320MP に対応。動画では 4K/120fps と 4K/60fps の AI ビデオ処理をサポートします。一方で、今回の公式発表では 8K 録画についての記載がなく、Elite モデル限定の可能性があります。

通信機能は上位モデルと同じ Snapdragon X80 モデム を採用し、5G は下り最大 10Gbps、Wi-Fi は FastConnect 7900 による Wi-Fi 7(最大 5.8Gbps) をサポートしています。

Bluetooth 6.0 や UWB、さらに衛星通信(NB-NTN)も統合されています。AI を活用した Wi-Fi のレイテンシ削減(最大 50% 低減)など、接続の信頼性と安定性も向上しています。

まとめ

Snapdragon 8 Gen 5 は、Snapdragon 8 Gen 3 の正統進化版として、CPU・GPU・NPU の強化に加えて、AI アシスタント連携や低照度動画処理の改善など、体感しやすい部分に重点が置かれたアップデートとなっています。

最上位の Snapdragon 8 Elite の直下という新しいポジションですが、ほとんどのユーザーにとっては“フラッグシップ級”の性能を提供するチップセットと言えます。

数週間以内に最初の搭載端末が登場すると言われており、Qualcomm は iQOO、Honor、Meizu、Motorola、OnePlus、vivo が採用していることを明らかにしています。

出典: Qualcomm

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著者情報

尾村 真英のアバター 尾村 真英 Technical Writer

HelenTech を運営している 尾村 真英 です。これまでに 50 台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動し、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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