MediaTek、学生向け Chromebook 向けに新チップ「Kompanio 540」を発表。性能と省電力を両立

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MediaTek は、学生向けの薄型 Chromebook に最適化された新プロセッサ「Kompanio 540 (MT8189)」を正式発表しました。

このチップは Kompanio 838 (MT8188) をベースとした教育向けの後継チップという扱いで、前世代比で CPU と GPU の性能を大幅に向上しつつ、省電力設計によって終日のバッテリー駆動を実現するのが特徴です。搭載する Chromebook は 2026 年 1 月より登場予定です。

目次

Kompanio 540 の主な特長と仕様

Kompanio 540 は、最新の 6nm プロセスで製造されたオクタコア CPU を採用しており、最大 2.6GHz で動作する 2 つの Arm Cortex-A78 コア、 最大 2.0GHz で動作する 6 つの Cortex-A55 コアを組み合わせています。

また、デュアルコア構成の Mali-G57 GPU、LPDDR5 メモリおよび UFS 3.1 ストレージに対応し、起動やアプリ切り替えなどの高速化が期待できます。

Kompanio 520 比で最大 75% の性能向上

MediaTek によると、前世代の Kompanio 520 と比較して、次のような性能向上の結果を得られたとしています。

  • CPU シングルコア性能: + 50%
  • マルチコア性能: + 30%
  • グラフィック性能: + 75%
  • バッテリー駆動時間: 最大 35% 向上

この性能向上により、Tinkercad や Minecraft: Education Edition といった教育系アプリのほか、動画視聴や軽いゲームでもスムーズな動作を実現します。

Chromebook 向け MediaTek MT8189 (Kompanio 540) の

ファンレスで静音、長時間駆動、Wi-Fi 7 対応

高効率設計によりファンレス構造を実現し、静音性に優れる点も特長です。学習環境を妨げず、長時間の使用にも適しています。

省電力な設計とバッテリー効率の向上により、YouTube 動画の連続再生テストでは Intel N150 搭載 Chromebook より最大 35% 長い駆動時間を実現したとしています(条件:ChromeOS 140、ASUS CR11)。

さらに、4K / 60Hz のビデオデコードエンジンを統合し、外部ディスプレイ接続時でも電力消費を抑えながら滑らかな再生が可能です。また、本体のディスプレイと外部モニターを合わせて最大 2 つの 2.5K (2,560×1,600) 、または外部モニター単体で最大 4K / 60Hz 出力に対応します。

通信面では、MediaTek の最新無線モジュール「Filogic Wi-Fi 7」に対応し、最大 7.3Gbps の高速通信をサポートしています。より安定した接続と低遅延で、オンライン授業やストリーミング環境の快適さが向上します。

スペックシート(前世代との比較)

Kompanio 540Kompanio 520
CPU最大 2.60GHz (Arm Cortex-A78) ×2
最大 2.00GHz (Arm Cortex-A55) ×6
最大 2.00GHz (Arm Cortex-A76) ×2
最大 2.00GHz (Arm Cortex-A55) ×6
GPUMali-G57 MC2Mali-G52 MC2 2EE
RAM最大 LPDDR4x-4266
最大 LPDDR5-6400
最大 LPDDR4x-3733
ストレージUFS 3.1
eMMC 5.1
eMMC 5.1
ディスプレイ最大 2,560 × 1,600 (内蔵)
最大 4K/60 (外部)
最大 2.5K (内蔵+外部) ×2
最大 2,520 x 1,080
動画デコード最大 4K / 60fps
H.264
HEVC
VP9
最大 1,080p / 60fps
H.264
HEVC
VP9
動画エンコード1,080p / 60fps
H.264
HEVC
周辺機器 I/OPCIe 2.0 ×1
SDIO 3.0
USB 3.2 Gen 1 ×2
USB 2.0 ×3
USB 3.0 ×1
USB 2.0 ×1
発表時期20252022

これらの仕様と構成から、MediaTek は Kompanio 838 をベースとしたチップを教育向けとして量産することを考えたようです。

2026 年初頭より登場予定

Kompanio 540 を搭載する Chromebook は 2026 年 1 月以降に各メーカーから順次発売予定です。Google の ChromeOS 部門副社長 John Maletis 氏は次のようにコメントしています。

MediaTek Kompanio 540 がより多くの Chromebook に採用され、パワーと効率を両立するプラットフォームを多くのユーザーに提供できることを楽しみにしています。

学生や教育現場向けのエントリーモデルを中心に、軽量かつ静音で一日中使える Chromebook がさらに拡充される見込みです。

まとめ

今回発表された MediaTek Kompanio 540 (MT8189) は、Kompanio 838 (MT8188) をベースにしたことで、従来教育向け Chromebook で広く利用されていた Kompanio 520 から設計レベルで刷新されたチップであり、性能・省電力・通信機能のすべてが強化されています。

これまで「軽量・低価格」中心だった教育向け Chromebook においても、よりスムーズな操作性と長時間駆動が期待でき、特に Wi-Fi 7 対応や LPDDR5 / UFS 3.1 などの最新規格に対応したことで、「学生向け=エントリー」から「日常利用でも快適に使えるモデル」にアップデートされたと言えます。

MediaTek はこれまで Kompanio Ultra シリーズで上位モデルを強化してきましたが、今回の Kompanio 540 は下位帯にもその技術をフィードバックする形となり、教育・一般ユーザー双方にとって大きなアップデートになる可能性があります。

今後は、Acer や ASUS、Lenovo など主要メーカーの新モデルに採用されることが予想され、2026 年の Chromebook における標準的なチップとモデルになるかもしれません。

なお、これまでの予想では Kompanio 838 の後継として開発されていると考えられていたため、性能の向上はあまり大きくないと思われていました。

しかし、Kompanio 520 の後継という扱いであれば話は変わり、これだけのパフォーマンスを備えたチップを教育向け Chromebook で広く展開できるのであれば、学生とメーカーの両方に大きなメリットが期待できます。

出典: MediaTek

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著者情報

HelenTech の運営をしている 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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