プライバシー保護を最重視したカスタム Android OS「GrapheneOS」は、これまで Google Pixel デバイスのみをサポートしてきましたが、その方針が近く変更される可能性があります。
今回、GrapheneOS プロジェクトは、2025 年 6 月から大手 Android メーカーと協業しており、次世代デバイスの少なくとも 1 モデルでサポートを提供する計画があることを明らかにしました。
GrapheneOS が Pixel 以外のデバイスへ拡大
長年、GrapheneOS が Pixel 限定であることには多くの意見が寄せられていました。これに対しプロジェクト側は、Pixel が唯一、GrapheneOS が要求するセキュリティアップデートの即時提供や、ハードウェアベースのセキュリティ機能を備えたデバイスであると説明してきました。
しかし今回の提携により、その状況が大きく変わる可能性があります。
大手メーカーとの提携を正式に確認
GrapheneOS は、Reddit 上でのユーザーとのやり取りを通じて、ある大手 Android メーカーとの提携を進めていることを認めました。この提携により、GrapheneOS は Pixel 以外のデバイスへもサポートを拡大する道筋を立てています。

新デバイスの特長
Reddit 上で共有された情報によると、提携メーカーの次世代デバイスは以下のような特徴を持つとされています。
- 価格帯: Pixel シリーズと同等
- プロセッサ: フラッグシップクラスの Snapdragon チップセットを採用。GrapheneOS は、Google の Tensor チップと比較して CPU/GPU 性能が大幅に向上していると説明しています。
- その他: 高品質なワイヤレス接続、eSIM サポート、優れた画像処理機能などを統合。
GrapheneOS の厳格な要件とサポート方針
GrapheneOS は単なるブートローダーのアンロック対応だけでなく、ハードウェアレベルでの高度なセキュリティ要件を設けています。そのため、これまで多くのメーカーのデバイスはサポート対象外となっていました。
これまで Pixel に限定されていた理由は、Pixel は、セキュリティとプライバシーの要件を満たす数少ない選択肢だったためです。
提供方法と既存ユーザーへの影響
新しい提携デバイスは、メーカーの通常ラインナップの一部として世界各国で販売される見込みです。
GrapheneOS がプリインストールされた状態での販売は必須ではなく、ユーザーが対応端末に自分でインストールする形式(現行の Pixel と同様)になるとみられます。
既存の Pixel ユーザーについては、現在サポートされているデバイスは寿命(EOL)まで引き続きサポートされる予定です。Pixel 10 のサポート追加が進められており、Pixel 11 以降については今後検討されるとしています。

Google 依存からの脱却へ
今回の動きの背景には、GrapheneOS が Google のセキュリティパッチ提供体制に対して懸念を示している点があります。
Google は最近、メーカーへのパッチ早期アクセス期間を 1 か月から 4 か月に延長しましたが、GrapheneOS はこれにより脆弱性が長期間悪用されるリスクが高まると指摘しています。
今回の OEM パートナーシップにより、GrapheneOS は独自に早期パッチアクセスを確保し、こうした遅延を回避できるようになる可能性があります。
まとめ
この提携は、GrapheneOS にとって Pixel 依存から脱却する大きな転換点となります。プライバシーを重視するユーザーにとって、Google ハードウェア以外でも安全な選択肢が得られることは大きな前進と言えます。
最初の対応デバイスが 2026 年に登場するのか、あるいは 2027 年になるのかはまだ不明ですが、今後の進展に期待です。
出典: PiunikaWeb