Google Cloud、スタートアップ向け AI エージェント開発ガイドを公開。構築の 4 ステップも解説

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Google Cloud、スタートアップ向け AI エージェント開発ガイドを公開。構築の 4 ステップも解説

Google Cloud は、スタートアップが AI エージェントを開発・導入するための技術ガイド「Startup technical guide: AI agents」を公開しました。

このガイドは、複雑なワークフローの自動化や業務改善を目指す企業に対し、実運用に向けた明確なロードマップを提供しています。

AI エージェントは、Gemini のような高度な AI モデルの知能とツールへのアクセスを組み合わせることで、ユーザーに代わってタスクを実行する仕組みです。従来の AI と異なり、複雑なタスクを分解・計画し、外部リソースを動的に活用して行動できる点が特徴です。

目次

AI エージェント開発における 3 つの選択肢

Google Cloud は、スタートアップの多様なニーズに応えるため、「構築」、「使用」、「統合」という 3 つのアプローチをサポートしています。

独自のエージェントを構築する (Build)

エージェントの動作を細かく制御したい開発チーム向けに、2 つのフレームワークが用意されています。

  • Agent Development Kit (ADK) : コードベースの開発者向けオープンソースフレームワーク。AI エージェントの構築、管理、評価、デプロイを一貫してサポートします。
  • Google Agentspace : ノーコードのデザイナーを使い、非技術者でもカスタムエージェントを構築できる環境を提供します。

Google Cloud のエージェントを使用する (Use)

インフラ管理の負担を軽減し、ビジネスロジックに集中したい場合に適しています。

  • Gemini Code Assist : 開発者向けの AI 搭載アシスタント。
  • Gemini Cloud Assist : Google Cloud 環境の設定や最適化を支援する AI エキスパート。

パートナーのエージェントを統合する (Integrate)

特定の専門分野向けには、サードパーティ製やオープンソースのエージェントも利用可能です。

  • Google Cloud Marketplace : 様々なエージェントを自社環境に簡単に統合できます。
  • Agent Garden : データ推論やエージェント間連携を備えた構築済みの ADK エージェントをデプロイ可能です。

Agent Development Kit (ADK) を使った AI エージェント構築の 4 ステップ

技術ガイドでは、ADK を活用して本番環境で動作する AI エージェントを構築するための 4 つの手順が紹介されています。

ステップ 1 : エージェントにアイデンティティを与える

まず、エージェントの基本情報を定義します。ログやタスク委任で使用する名前、機能の説明、使用する AI モデル(Gemini 2.5 Pro や Gemma など)を明確にすることが重要です。

ステップ 2 : 「最優先指令」を記述する

instruction パラメータを使い、エージェントの目的・行動方針・禁止事項を明示します。複雑なタスクでは、例示(few-shot prompting)を追加することで精度が向上します。

ステップ 3 : ツールで機能を拡張する

外部 API 呼び出し、データベース検索、システム連携などのツールを組み合わせ、エージェントに実行力を与えます。

例えば、サポート業務用エージェントは CRM からユーザー情報を取得し、プロジェクト管理ツールにチケットを作成するといった処理を自動で行えます。

ステップ 4 : ライフサイクルを管理する

エージェント構築は一度で完了するものではなく、継続的な運用サイクルが必要です。

ガイドでは「AgentOps」という手法を紹介しており、エージェントの推論プロセスを段階的に検証しながら、Vertex AI Agent Engine や Cloud Run 上で安全に運用する方法を解説しています。

Google Cloud を活用するスタートアップ事例

Google Cloud は、AI エージェントを導入して成果を上げているスタートアップの事例も紹介しています。

Wotter : 従業員エンゲージメントの改善を支援

Wotter は、Gemini 2.5 Flash を採用し、社員フィードバックや会話ログなど膨大なデータを効率的に処理しています。リアルタイムで分析結果を返す仕組みを構築し、運用コストを抑えつつ高い応答性を実現しています。

Harvey : 法務文書レビューの自動化

Harvey は、Gemini 2.5 Pro と Vertex AI を組み合わせ、法律文書の自動レビューを実現し、数百ページ規模の資料を解析して要約・分析を行い、法務業務の効率化に貢献しています。Vertex AI のセキュリティとプライバシー機能も、クライアント企業からの信頼構築に役立っています。

スタートアップ支援プログラムも展開

Google Cloud は、AI 導入を目指す企業向けに「Google for Startups Cloud Program」を提供しています。

対象企業は最大で 35 万米ドル分のクラウドクレジットを受け取ることができ、開発環境の整備や運用コストの削減を後押しします。

今回のガイドは、スタートアップが AI エージェントを活用して事業を拡張するための実践的な手引きであり、次世代の AI 活用に向けた重要なリソースとなっています。

出典: Google Cloud

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著者情報

HelenTech の運営をしている 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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