Google は 2025年 9 月 30 日(現地時間)、公式ブログを更新し、Android の新しい開発者検証要件(Android デベロッパーの確認)についての立場を改めて説明しました。
この中で Google は、ユーザーの安全性を高めるための措置であり、Android の特徴の一つである「サイドローディング」がなくなることはないと強調しています。
しかし、F-Droid のような独立系アプリストアが提起した根本的な懸念については未解決のままであり、議論はまだ続きそうです。
Googleの新方針「Android デベロッパーの確認」とは?
Google は、Android アプリの安全性を向上させる目的で、新しい開発者検証要件として「Android デベロッパーの確認」を導入する予定です。
この要件により、将来的にはすべての Android アプリが、Google によって本人確認が完了した開発者アカウントに紐付けられることになります。
これにより、悪意のある人物が開発者を装ってマルウェアなどを配布することを困難にする狙いがあります。
サイドローディングの存続を明言
この新しい要件に対し、独立系アプリストアの F-Droid などからは、「オープンソースのアプリ配布が困難になるのではないか」という懸念の声が上がっていました。
これに対し Google は、ブログ投稿で「サイドローディングは Android の基本であり、なくなることはありません」と明確に否定しました。
また、検証済みの開発者は、これまで通り Google Play ストア以外のサードパーティ製アプリストアや、ウェブサイトからの直接ダウンロードといった形でアプリを自由に配布できるとしています。
小規模開発者向けの対応策
Google は、趣味でアプリを開発している人や学生などを対象に、無料で利用できる新しい開発者アカウントタイプを導入することも明らかにしました(これは最初の発表時にも記載されている)。
このアカウントタイプを利用する場合、政府発行の身分証明書などを提出する必要はありません。その代わり、アプリをインストールしたいユーザーは、自身のデバイス ID を開発者に共有する必要があります。
開発者はその ID を Google のコンソールに登録することで、特定のデバイスへのアプリ配布が可能になります。
この仕組みにより、Google は未検証の開発者が配布できるアプリのインストール数を制限し、安全性を確保するとしています。ただし、より広範囲のユーザーにアプリを届けたい場合は、従来通りの完全な本人確認手続きが必要となります。
払拭されない独立系アプリストアの懸念
Google はサイドローディングの存続を強調しましたが、F-Droid が提起した最も重要な懸念には答えていません。
Google によるアプリ配布の一元管理
F-Droid が問題視しているのは、「誰が開発者の身元情報と署名キーを管理するのか」という点です。
新しいルールでは、Google Play ストア以外で配布されるアプリであっても、すべて Google が検証した開発者アカウントに紐付けられます。
これは、事実上 Google がすべての Android アプリ配布における中央機関となり、その管理下に置かれることを意味します。
F-Droid は、これが代替アプリストアの独立性を脅かす可能性があると指摘しています。
オープンソースコミュニティへの影響
また、F-Droid のようなプラットフォームは、多くのボランティア開発者の貢献によって成り立っています。F-Droid は、プロジェクトとして個々の貢献者に代わって身元情報を管理することはできないと表明しています。
もし開発者が Google へのアカウント登録を拒否したり、何らかの理由で登録できなかったりした場合、その開発者が作成したアプリは配布できなくなる可能性があります。
これにより、多くのコミュニティベースのアプリが存続の危機に立たされるかもしれません。
まとめ
Google は、サイドローディングという「機能」自体は存続すると約束しました。しかし、そのエコシステムを支えてきた独立系アプリストアが今後どのように運営していけばよいのか、その具体的な方法については示されていません。
技術的にはサイドローディングが可能であっても、F-Droid のような独立した配布プラットフォームがその役割を果たせなくなれば、ユーザーにとっての選択肢は実質的に狭まることになります。この問題がどのように解決されるのか、今後の動向が注目されます。