Google は 2025 年 9 月 18 日 (米国時間)、Chromebook などのサポートされる ChromeOS デバイスおよび ChromeOS Flex デバイスに向けて、ChromeOS 140 安定版のメジャーアップデートをリリースしました。このアップデートは今後数日かけて、順次展開される予定です。
今回のアップデートにより、Chrome ブラウザのバージョンは 140.0.7339.201 (プラットフォームバージョン: 16371.49.0) へと更新されます。
現時点での公式リリースノートでは、新機能やユーザーインターフェースの変更点に関する言及はなく、主にセキュリティ修正が中心の内容となっています。
Chromebook やユーザー向けの新機能や変更点に関する詳細な情報はありませんが、すでに管理者向け ChromeOS 140 リリースノートが公開されており、変更点を確認することができます。
ChromeOS 140 のセキュリティアップデート内容
今回のアップデートでは、ChromeOS 本体と、内蔵されている Chrome ブラウザの両方で複数の脆弱性が修正されています。特に深刻度が「Critical (緊急)」と評価される問題も含まれています。
ChromeOS のセキュリティ修正
ChromeOS に関する脆弱性として、サードパーティコンポーネントで発見された以下の内容が修正されました。
- CVE-2025-0932 (High): WebGPU の処理に関連する脆弱性。悪用されると、メモリの解放後に不正なアクセスが発生し、予期せぬ動作を引き起こす可能性がありました。
- eSIM の脆弱性 (Medium): eSIM の機能に関する問題で、不正な SIM の複製や通信の傍受につながる可能性がありました。
- Intel プロセッサの脆弱性 (Medium): Intel 製プロセッサの分岐予測機能に関する脆弱性 (CVE-2024-45332, CVE-2024-43420, CVE-2025-20623, TA-01247) が修正されています。
- CVE-2025-38349 (High): Linux システムの epoll システムコールインターフェースにおけるメモリ関連の脆弱性。システムの安定性に影響を与える可能性がありました。
これらの修正により、OS レベルでのセキュリティが強化されています。また、この他に Android 関連のセキュリティ修正も含まれています。
Chrome ブラウザのセキュリティ修正
ChromeOS に内蔵されている Chrome ブラウザにおいても、以下の複数の脆弱性が修正されています。
- CVE-2025-10200 (Critical): Serviceworker 機能における解放済みメモリの使用 (Use-after-free)。深刻度が最も高い「緊急」と評価されています。
- CVE-2025-10585 (High): V8 (JavaScript エンジン) における型の混同。
- CVE-2025-10501 (High): WebRTC (リアルタイム通信機能) における解放済みメモリの使用。
- CVE-2025-9864 (High): V8 (JavaScript エンジン) における解放済みメモリの使用。
- CVE-2025-10201 (High): Mojo (プロセス間通信ライブラリ) における不適切な実装。
- CVE-2025-9866 (Medium): 拡張機能における不適切な実装。
発生している問題について
記事執筆時点では、ChromeOS 140 へのアップデートに関連する、Chromebook やユーザーに影響を与える大きな問題は報告されていないようです。今後、問題などが発生した場合には改めてお知らせします。
もし、アップデート後に一般的なトラブルシューティングでも解決できない問題に遭遇したときには、以下の手順で Google にフィードバックを送信してください。
- ChromeOS の [設定] > [ChromeOS について] > [フィードバックを送信]
ChromeOS 140 の新機能について
ChromeOS 140 における、ユーザー向けの大きな変更点についてはまだ確認できていません。
管理者向けリリースノートでも、新しいポリシーの導入などが中心となっており、ユーザーに直接影響するような機能の提供はありませんでした。
一方で、ChromeOS 140 になったことで、いくつかの新しいフラグが利用できるようになっていることを確認しています。
- Optimized charging: ChromeOS 143 から導入予定とされる、Chromebook の「充電上限を 80%に制限」できるユーザー設定が利用可能になります。
- アドレスバーから「AI モード」で検索: Chrome のアドレスバーから直接 AI モードでの検索を起動できます。
これらについては、後ほど別の記事でも紹介する予定です。
まとめ
今回の ChromeOS 140 へのアップデートは、新機能の追加はなく、セキュリティ問題への対処が中心となっています。
特に、深刻度が「Critical」と評価される脆弱性や、複数の「High」と評価される脆弱性が修正されているため、すべてのユーザーにとって重要なアップデートです。
現時点で報告されている問題もなく、アップデートが利用可能になり次第、速やかに適用することをおすすめします。
なお、アップデートはすべてのデバイスに同時に配信されるわけではなく、数日かけて順次展開されるため、まだ通知が届いていない場合でもしばらく待ってみてください。組織で管理されているデバイスの場合は、管理者がアップデートを制限していることもあります。
お使いの Chromebook でアップデートを確認するには、[設定] > [ChromeOS について] > [アップデートを確認] に進んでください。
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出典: Chrome Releases