Google は、以前から開発を進めていたウェブブラウザ「Chrome」への AI 機能の統合を本格化し、AI モデル「Gemini」の統合を含む 10 個の新機能について、具体的なリリース時期や詳細を明らかにしました。
Gemini in Chrome
以前より予告されていた「Gemini in Chrome」が、米国の Mac および Windows デスクトップユーザー向けに展開が開始されました。
この機能により、閲覧中のウェブページに関する複雑な情報を要約したり、質問したりすることが可能になります。
数週間以内には Google Workspace 経由で企業向けにも提供が開始され、エンタープライズレベルのデータ保護と管理機能が備わります。
さらに、米国内ではモバイル版 (Android / iOS) への展開も予定されており、場所を問わず AI 機能にアクセスできるようになります。
タスクを代行するエージェント機能の導入
数ヶ月以内に、Gemini in Chrome に「エージェント機能」が導入される予定です。
これにより、美容院の予約や毎週の食料品注文といった時間のかかる作業を、Gemini がユーザーに代わってウェブページ上で実行できるようになります。ユーザーはいつでも操作を停止することができます。
複数タブにまたがる情報を要約・整理
Gemini in Chrome は、複数のタブを横断して情報を比較・要約する機能も搭載します。
例えば、旅行の計画でフライト、ホテル、アクティビティを別々のタブで調べている場合でも、Gemini がそれらの情報を一つの旅程にまとめてくれます。
過去に閲覧したウェブページの検索
過去に閲覧した重要なウェブサイトを履歴から探し出す手間を省くため、Gemini in Chrome に話しかけるだけでページを呼び出せる機能が近日中に登場します。
「先週見たウォールナットの机のウェブサイトは?」といったプロンプトで、目的のページを簡単に見つけられるようになります。
Google アプリとのシームレスな連携
Google カレンダー、YouTube、Google マップといった主要な Google アプリとの連携が強化されます。
これにより、閲覧中のページを離れることなく、会議のスケジュール設定や場所の詳細確認などが可能になります。
例えば、YouTube 動画の特定のシーンについて尋ねると、Gemini がその場面へ直接移動してくれます。
アドレスバーから直接 AI モードで検索
PC 版 Chrome のアドレスバー(オムニボックス)から、Google 検索の強力な「AI モード」に直接アクセスできるようになります。
これにより、より長く複雑な質問を投げかけ、AI による詳細な回答を得ることが可能になります。
この機能は、今月後半に米国・英語環境で展開が開始され、順次他の国や言語にも拡大される予定です。
表示中のページについて質問し、理解を深める
アドレスバーから、現在開いているページ全体について質問できるようになります。
Chrome はページの文脈に応じて関連性の高い質問を提案し、検索のきっかけを提供します。回答はサイドパネルに「AI による概要」として表示され、ページを離れることなく、さらに深掘りした質問を続けることも可能です。
なお、この機能はすでに Chromebook (ChromeOS) では利用可能でした。
Gemini Nano で詐欺から保護
Chrome のセーフブラウジング「保護強化機能」では、AI モデル「Gemini Nano」の活用が拡大されます。
既存のテクニカルサポート詐欺に加えて、今後は偽のウイルス警告や景品当選を装ってユーザーを騙すサイトからも保護されるようになります。
迷惑な通知や不要な権限リクエストを AI が管理
Chrome は、スパムや詐欺の可能性があるウェブサイトの通知を検出し、ユーザーに通知を表示するか、登録を解除するかを選択肢として提示します。
この機能により、Android 版 Chrome では不要な通知が 1 日あたり約 30 億件削減されたとのことです。
また、AI がユーザーの許可設定の傾向を学習し、許可する可能性が低いサイトからの権限リクエスト(カメラや位置情報など)を目立たない形で表示するようになります。
侵害されたパスワードを 1 クリックで変更
パスワードが侵害された際に警告する既存の機能に加え、AI が「パスワードエージェント」として機能するようになります。
これにより、Coursera、Spotify、H&M などの対応サイトにおいて、侵害された保存済みパスワードを 1 クリックで安全に変更できるようになります。
まとめ
Google Chrome は、従来の検索ツールの機能を AI により拡充し、より便利かつ安全になります。
ただし、一部の機能は英語のみでの展開となり、日本語を含むグローバルの展開は遅れる見込みですので、今後のリリースに期待です。
出典: Google