Google は、Web ブラウザの Chrome に AI アシスタント「Gemini」を統合し、米国の一部のユーザーを対象に提供を開始しました。
これにより、閲覧している Web ページの情報を基に質問したり、複雑な内容を要約させたりすることが可能になります。
この機能はまず Mac および Windows のデスクトップ版 Chrome 向けに、言語設定が英語の米国ユーザーから順次展開されます。
また、Google Workspace を利用するビジネスおよび教育機関向けには、エンタープライズグレードのデータ保護を備えたバージョンが 2025 年 10 月 2 日以降に一般提供される予定です。
Gemini in Chrome の主な機能
Gemini in Chrome では、最大 10 個のブラウザタブと Google Workspace アプリの文脈を基に、以下のような操作を行えます。
- 質問と洞察の取得: 閲覧中のページに関する質問を投げかけ、回答や深い洞察を得る。
- 複雑な情報の要約・明確化: 専門的な記事や長いレポートの内容を簡潔にまとめる。
- Gemini Live との対話: 音声やテキストで Gemini と双方向の対話を行う。
Android ユーザーは電源ボタンを長押しすることで Chrome や他のアプリ使用中に Gemini を起動でき、iOS ユーザー向けには近日中に Chrome アプリへの統合が予定されています。
Google Workspace ユーザー向けの提供について
Google Workspace を利用している法人や教育機関向けには、セキュリティと管理機能を強化した Gemini in Chrome が提供されます。
エンタープライズグレードのデータ保護
Workspace ユーザー向けの Gemini in Chrome は、Gemini アプリのコアサービスとして提供されます。
これにより、入力された情報や会話の内容は、管理者の許可なく人間によるレビューや AI モデルの学習に使用されることはありません。データは Google Workspace の利用規約に基づき、エンタープライズレベルの保護が適用されます。
管理者による事前設定
一般提供の開始に先立ち、Google Workspace の管理者は管理コンソールから Gemini in Chrome の利用を事前に設定できます。
以下の 2 つの設定により、ドメイン、組織部門、またはグループ単位でアクセスを制御可能です。
- Gemini app service setting: デフォルトでオン。これをオフにすると、Web、モバイル、Chrome を含むすべての Gemini アプリへのアクセスが無効になります。
- Chrome GeminiSettings: デフォルトで「許可」。これをオフにすると、Gemini in Chrome のみが無効になります。
![管理コンソールの [Chrome ブラウザ] > [設定] > [Gemini の統合] で表示される Chrome GeminiSettings の設定画面のスクリーンショット](https://helentech.jp/wp-content/uploads/2025/09/Screenshot-2025-09-19-10.41.27.png)
コンプライアンスに関する注意点
リリース時点では、Gemini in Chrome は HIPAA や SOC、ISO などの一部のコンプライアンス認証の対象外となります。
HIPAA の事業提携契約 (BAA) を締結している組織では、この機能はブロックされるため注意が必要です。
提供範囲
Gemini in Chrome の初期の提供範囲は以下の通りです。
- デバイス: Mac、Windows
- 対象ユーザー: 18歳以上
- 言語: 英語のみ
- 地域: 米国のみ
日本での展開については現時点で発表されていませんが、今後の展開に期待です。
まとめ
Chrome への Gemini 統合によって、ユーザーは効率的なブラウジングが可能になり、Workspace ユーザーにとっても安全な環境下での AI 活用が期待されます。
現状では英語のみの展開となりますが、将来的な日本語環境での展開にも期待したいですね。
なお、Chromebook など ChromeOS デバイスでも展開されるかは、まだ分かりません。