MediaTek MT8189 搭載 Chromebook に新ベースボード「Jedi」が追加。合計9機種が開発中か

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MediaTek の次期チップセット 「MT8189」 を搭載する Chromebook の開発が活発化しています。これまでに 「Skywalker」 と呼ばれるベースボードから 8 つのデバイスが開発されていることがわかっていましたが、今回新たに 2 つ目のベースボード 「Jedi」 が発見されました。

目次

「Jedi」 と 「Padme」 の登場

これまで、MediaTek の次期チップセット 「MT8189」 を搭載する Chromebook は、「Skywalker」 という単一のベースボード(リファレンスボード)を基に、8 つの派生デバイスが開発されていることが確認されていました。

しかし、Chromium のリポジトリから、新たに 「Jedi」 というコードネームのベースボードが発見されました。「Jedi」 は 「Skywalker」 ファミリーの1つではなく、完全に独立した新しいリファレンスボードです。

発見された「Jedi」ボード (Chromium Gerrit)

これは、Google と MediaTek が同一の SoC 「MT8189」 を使用しつつ、異なる目的やフォームファクタに対応するための 2 つのベースボードを並行して開発していることを示唆しています。

また、このコミットからは「Jedi」の最初の派生デバイスとして「Padme」の開発が進められていることも確認できます

MT8189 を中心とした活発な開発

今回の発見により、未発表の MediaTek チップ 「MT8189」 を中心とした開発状況は以下のようになります。

  • 2 つの異なるベースボード
    • Skywalker
    • Jedi
  • 合計 9 つのユニークなデバイス
    • Skywalker 系統: 8 機種
    • Jedi 系統: 1 機種(今回の Padme)

ChromeOS のエコシステムにおいて、1つの ARM SoC に対してこれほど多くのデバイスがリリース前に開発されるのは前例がありません。

この事実は、Google、MediaTek、そして多くの製造パートナーが連携し、ARM 搭載 Chromebook の普及に向けて大規模な取り組みを進めていることを示しています。

教育市場向けのデバイスか

この活発な開発状況から、これらの新しい Chromebook が教育市場 (EDU) を主なターゲットにしていると推測されます。

手頃な価格で効率的な ARM ベースのデバイスが大量に準備されていることから、2026 年初頭に開催される CES 2026 や BETT 2026 といった大規模な技術見本市で、MT8189 を搭載した教育向けデバイスが一斉に発表される可能性があります。

これまでに MT8189 で分かっていること

これまでに MT8189 で分かっていることを簡単にまとめておきます。

開発当初からの展開

未発表の「MT8189」は、2024 年夏頃から開発に取り組まれていることが発見され、その際に最初のベースボード「Skywalker」が確認されました。この名前はスター・ウォーズから取られているようです。

その後も水面下で進められており、今年 6 月には「Skywalker」から派生した 5 つの Chromebook の開発が始まっていることが報告されました。

これら 5 つのボードもスター・ウォーズから命名されており、次のようなコードネームとなっています。

そして最近では、新たに以下の 2 つの機種の開発も始まりました。

  • Tarkin
  • Phasma

現時点ではこれらのデバイスに関する詳細はありませんが、Skywalker 派生のデバイスには、少なくとも ASUS と Acer のモデルが含まれる可能性が示唆されています。

さらに「Baze」というモデルは、テンキー付きのコンバーチブルモデルになる可能性も示されていました。

MT8189 のパフォーマンス

まだ開発中の MT8189 ですが、すでに Geekbench でコードネーム「Yoda」のベンチマークが掲載されています。

発見されたベンチマークスコアは、シングルコアが 1,031、マルチコアは 2,227 となっていました。このスコアは現行の MT8188 (Kompanio 838) とほぼ同じです。

「Yoda」の Geekbench スコア

その理由の一つとして、MT8189 は現行 MT8188 (Kompanio 838) と同じコア構成とクロック周波数を採用しており、CPU 性能では大きな違いが見られないためです。

  • MT8189 のコア構成
    • 2.60GHz × 4 コア
    • 2.00GHz × 4 コア

つまり、開発中の MT8189 は現行 MT8188 からパフォーマンス面でのアップグレードは期待できない可能性が高いと言えます。

ただし、CPU 以外の点、例えばグラフィックス性能やオンデバイスの AI タスクを処理する NPU、電力効率の改善、コストダウンによる価格への影響(値下げ)などの可能性も十分に考えられます。

とはいえ、現行 MT8188 (Kompanio 838) の性能でも、従来のスタンダードクラスのパフォーマンスはあり、過去のエントリークラスよりも明らかに快適になっています。

まとめ

今回、MT8189 を搭載する Chromebook のベースとなる「Jedi」と、その派生となる「Padme」が新たに発見されました。これにより MT8189 を搭載するデバイスの開発は合計 9 機種へと拡大しています。

現時点では、これら開発中の機種に関する詳細はまだ明らかにされていませんが、Google と MediaTek は引き続き協力して、Chromebook 向けチップの開発と搭載デバイスを増やしていくことは間違いなさそうです。

現行 MT8188 (Kompanio 838) は、搭載しているデバイスが非常に限られているため、多くのデバイスで採用されることになる MT8189 と、MediaTek チップ搭載デバイスの広がりに期待です。

出典: Chrome Unboxed

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著者情報

尾村 真英のアバター 尾村 真英 Technical Writer

HelenTech の運営をしている 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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