Google は 2025 年 8 月 13 日(米国時間)、ChromeOS 139 の安定版 (Stable) に関する企業および教育機関向けのリリースノートを公開しました。
このリリースノートには、ChromeOS 139 での変更点や今後のアップデートで実装される新機能、ポリシー変更に関する情報が含まれています。Chromebook などの ChromeOS デバイスを導入している企業や教育機関の管理者の方は、内容を確認し、今後の展開に備えることが推奨されます。
ChromeOS 139 の主な変更点
今回のアップデートでは、デバイス間で作業環境を引き継げる「デスク同期」機能や、外部タッチスクリーンのキャリブレーション機能が追加されました。 また、Chrome アプリのサポート終了や Native Client (NaCl) に関する重要な変更も含まれています。
ChromeOS デスク同期
すでに ChromeOS 138 のリリースノートでも言及されていましたが、ChromeOS 139 でも改めて告知されています。
「デスク同期」は、ユーザーがデバイスを切り替えた際に以前の作業環境を素早く復元できる機能で、前回のセッションで開いていたすべてのウィンドウ、タブ、さらには Cookie まで復元され、シームレスな作業の移行が可能になります。

Chrome アプリのサポートに関する変更
ChromeOS 139 (2025 年 8 月 19 日リリース予定) から、ユーザーが自身でインストールした Chrome アプリが動作しなくなります。
ただし、管理者が管理コンソールを通じて管理対象ゲストセッション (MGS) やユーザーセッションに強制インストールしたアプリは、引き続きサポートされます。 また、キオスクセッションで Chrome アプリを引き続き使用する必要がある場合は、管理者がKioskChromeAppsForceAllowed
という新しいポリシーを有効にすることで、ChromeOS 150 までサポートを延長できます。
Native Client (NaCl) の非推奨化
ChromeOS 139 以降、管理環境において Native Client (NaCl) はサポートされなくなります。
現在、長期サポート (LTS) チャンネルを利用しているデバイスについては、NaCl のサポートは ChromeOS 138 LTS の最終リフレッシュ版がリリースされる 2026 年 4 月まで継続されます。
タッチスクリーン キャリブレーション ツール
ChromeOS 139 では、Chromebook に接続された外部のタッチスクリーンディスプレイの境界線を調整(キャリブレーション)するツールが利用可能になりました。
この設定により、外部ディスプレイの境界線が正しく調整され、タッチ入力が表示コンテンツと正確に対応するようになります。 この機能は、[設定] > [デバイス] > [ディスプレイ] から、該当する外部タッチスクリーンディスプレイを選択し、「タッチスクリーンを調整」にアクセスすることで利用できます。
今後の変更点
リリースノートでは、今後予定されているいくつかの重要な変更についても言及されています。
Chrome サインビルダーの非推奨化
デジタルサイネージを作成・管理するための Chrome アプリ「Chrome サインビルダー」が、2026 年 7 月にサポートを終了する予定です。 ChromeOS 150 がキオスクモードでこのアプリをサポートする最後のバージョンとなります。
LTS チャンネルのデバイスでは、2027 年 4 月までサポートが延長されます。 現在このツールを利用している組織は、サービスの中断を避けるため、2026 年 7 月までに代替ソリューションへ移行する必要があります。 Google は代替案として、Chrome Enterprise Recommended パートナーである Comeen への移行や、他のウェブアプリの導入を推奨しています。
EAP/TLS サーバー証明書の検証
2025 年 10 月 1 日から、EAP/TLS ネットワーク設定におけるサーバー証明書の検証方法に関する修正が安定版チャンネルに展開されます。
この変更は、2022 年 1 月より前に設定された EAP/TLS ネットワークを利用している一部の環境に影響し、接続性の問題を引き起こす可能性があります。 管理者は、認証サーバーの証明書を新しいものに更新するか、Google 管理コンソールでサーバー証明書機関の設定を「システムのデフォルトの証明機関」に変更することで対応できます。
まとめ
今回の ChromeOS 139 アップデートでは、複数デバイス間の作業効率を向上させる「デスク同期」機能が広く展開される予定です。 一方で、ユーザーがインストールした Chrome アプリのサポートが終了するなど、管理者とユーザーの双方にとって重要な変更も含まれています。
Chrome アプリや Chrome サインビルダーのサポート終了、EAP/TLS の証明書検証の変更は、今後の運用に影響を与える可能性があるため、管理者の方は早めに内容を確認し、計画的に対応を進めることをお勧めします。
ChromeOS 139 安定版のリリースは、2025 年 8 月 19 日(米国時間)に予定されています。
なお、Chrome 139 の管理者向けリリースノートはすでに公開されており、変更内容については以下の記事をご覧ください。