ICT 市場調査コンサルティングのMM総研は、全国の市区町村を対象に実施した「小中 GIGAスクール第2期における ICT 整備動向調査」の結果を公表しました。
調査によると、GIGA スクール構想の第 2 期における端末更新では、Google の ChromeOS (Chromebook) がシェアを 60% に拡大し、Microsoft の Windows がシェアを大幅に減少させるという大きな変化が見られました。
この調査は 2025 年 6 月から 7 月にかけて、全国 1741 の市区町村教育委員会を対象に電話で実施され、1249 の市区町村から回答を得たものです。
GIGA 第 2 期の OS シェアは ChromeOS が 6 割に
調査結果によると、第 2 期における児童生徒用端末の OS シェアは、Google の ChromeOS が 60% を占め、第 1 期から 18 ポイント増加し、圧倒的な首位となりました。これに対し、Apple の iPadOS は 31%(2 ポイント増)で 2 位に浮上、Microsoft の Windows は 10%(19 ポイント減)と大きくシェアを落とす結果となりました。
第1期での Windows 端末に対する評価では、「OS アップデートなど、運用しにくい」「動作が遅い」といった意見が挙がっており、これがシェア減少の一因と考えられます。

OS を切り替える自治体は約 3 割
第 1 期から OS を切り替える自治体は全体の 28% にのぼりました。OS 別に見ると、第 1 期に ChromeOS を採用した自治体の 9 割以上、iPadOS を採用した自治体の約 8 割が継続利用を選択しています。一方で、Windows や複数 OS を採用していた自治体では 6 割以上が OS を切り替える方針です。
主な理由は「周辺の動向」と「運用しやすさ」
OS の選定理由として、継続利用する自治体では「現在利用している OS のため」(94%) が最多でした。
一方、OS を切り替える自治体では「周辺自治体が多く利用している」(38%)、「運用しやすい」(33%)、「現場の教員からの意見」(23%) が上位を占め、運用面での負担軽減や他校との連携を重視する傾向が見られます。


端末の平均単価は 5.5 万円
GIGA 第 2 期で導入される端末の単価は、全体平均で 5.5 万円となりました。これは政府の補助上限額である 5.5 万円前後であり、多くの自治体がこの価格帯で調達を進めていることがわかります。
OS 別に見ると、ChromeOS が平均 5.4 万円、Windows が 5.5 万円、iPadOS が 5.7 万円となっており、iPadOS が若干高い傾向にありますが、大きな差は見られませんでした。

端末調達は 2025 年度に集中
端末の調達時期については、2025 年度に集中する見込みです。調査対象の自治体が計画する調達台数のうち、72% にあたる約 475 万台が 2025 年度に、22% にあたる約 144 万台が 2026 年度に調達される予定です。
政府は調達時期の平準化を呼びかけていますが、既存端末の老朽化などの事情から、多くの自治体で 2025 年度中の更新が計画されています。

まとめ
今回の調査から、GIGAスクール構想の第2期では、運用コストや管理のしやすさを理由に ChromeOS がさらにシェアを拡大し、市場の様相が大きく変化していることが明らかになりました。特に Windows からの乗り換えが進んでいる点が特徴的です。
また、多くの自治体が周辺の動向を参考にしつつ、現場の教員の意見も取り入れながら OS を選定していることもわかりました。端末調達が 2025 年度に集中することから、今後の供給体制にも注目が集まります。
出典: MM総研