Google は、Google Workspace の管理者向けに、Google ドライブ内のファイルを AI を活用して自動的に分類する機能を大幅に強化したことを発表しました。
今回のアップデートにより、複数のカスタム AI モデルのトレーニング、オンデマンドでのトレーニング実行、刷新されたユーザーインターフェース (UI) が利用可能になり、組織のデータ分類作業がより効率的かつ柔軟になります。
この機能は、組織固有のニーズに合わせて AI モデルをトレーニングし、ドライブ内のファイルを自動で識別・分類・ラベル付けするものです。これにより、組織全体で一貫したラベリングを大規模に展開できます。
AI 分類モデルのトレーニングがより効率的に
今回のアップデートにおける主な変更点は以下の 3 つです。
最大 5 つのユニークなモデルをトレーニング可能に
これまでカスタム AI モデルは 1 つのラベルフィールドに対して 1 つしかトレーニングできませんでしたが、今回のアップデートで最大 5 つまでユニークなモデルをトレーニングできるようになりました。
これにより、以下のような柔軟な運用が可能になります。
- 異なるラベルに対応する複数のモデルを作成
- 単一のラベルに含まれる異なるフィールドごとにモデルを作成
- 同じラベルとフィールドの組み合わせでも、対象者ごとに異なるトレーニングデータセットを持つ複数のモデルを作成

管理者が任意のタイミングでトレーニングを実行可能に
これまでの AI 分類モデルは、事前に定義されたスケジュールに基づいてトレーニングが実行されていました。新しいバージョンでは、管理者が任意のタイミングでモデルのトレーニングを開始できるようになります。これにより、組織のペースに合わせて反復的な改善プロセスを回すことが可能になりました。

UI の刷新でモデルの状況がより分かりやすく
AI 分類機能の管理画面が全面的に再設計され、新しい初期設定画面とモデル詳細ページが導入されました。
刷新された UI により、Workspace 管理者はモデルのトレーニング状況、トレーニングデータのメトリクス、モデルのリコールスコア、モデルのバージョン履歴といった、より多くの情報を把握できるようになります。

なぜ重要なのか
AI 分類機能は、プライバシーを保護しつつ、顧客固有のニーズに合わせてトレーニングできる AI モデルを活用して、ドライブ内のファイルを自動で分類します。これにより、組織はデータ分類を標準化し、大規模な環境でも一貫したラベリングを実現できます。
付与されたラベルは、データ損失防止 (DLP) の制御、ライフサイクル管理ポリシー、さらには監査やレポート作成などの場面で活用でき、ファイルの共有可否に関するルールをトリガーすることも可能です。
今回の機能強化により、管理者は組織の動的なニーズに合わせて、必要な時に必要なモデルを柔軟にトレーニングできるようになります。
新機能の利用方法
管理者は、管理コンソールからラベルマネージャーにアクセスすることで、この機能を利用できます。
- 管理者: 管理コンソール (https://admin.google.com/ac/dc/) の [セキュリティ] > [アクセスとデータの管理] > [データ分類] から設定できます。詳細については、ヘルプセンターの「AI 分類を使用して Google Drive ファイルに自動的にラベルを付ける」をご確認ください
- エンドユーザー: この機能に関するエンドユーザー向けの設定はありません
展開ペースと対象エディション
この機能は、即時リリースおよび計画的リリースドメインに対して、2025 年 7 月 30 日より段階的に展開されます (機能が完全に利用可能になるまで最大15日かかる場合があります)。
以下は利用可能な Google Workspace エディションとアドオンです。
- Google Workspace Enterprise Plus
- Google Workspace Frontline Plus
- Gemini Education Premium add-on
- Gemini Enterprise
- AI Security
まとめ
今回の Google ドライブの AI 分類機能のアップデートにより、複数モデルのサポートとオンデマンドトレーニング、組織ごとの多様なデータ管理ポリシーに、よりきめ細かく対応できるようになります。刷新された UI も、モデルのパフォーマンスを正確に把握し、継続的な改善を促す上で役立ちます。
データセキュリティとコンプライアンスの重要性が高まる中、この強化された AI 機能を活用することで、より堅牢なデータガバナンス体制を構築できるはずです。
とはいえ、基本的には大規模な導入を行っている企業向けの機能となります。詳細については、以下のヘルプページをご覧ください。