Google Chrome、AI を活用したオンライン詐欺対策を紹介。Gemini Nano も使われる

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Windows 11 の壁紙を背景にした Chrome のアイコン

Google は、2025年5月8日、オンライン詐欺と戦うための最新の取り組みに関する報告を発表するとともに、Google Chrome、Google 検索、Android に搭載された新しい AI 技術によって、どのようにユーザーを保護しているかを明らかにしました。

Google は 10 年以上にわたって最新の AI を活用し、オンライン詐欺からユーザーを保護しており、今回の発表では、検索、Chrome、Android 全体で AI を活用した新たな安全対策が紹介されています。

目次

検索結果の安全性が向上 : AI が詐欺サイトをブロック

Google 検索では、AI が毎日何億もの詐欺的な検索結果を検出し、ブロックしています。報告によると、AI を活用した詐欺検出システムの改善により、ウェブ上の膨大な量のテキストを分析、組織的な詐欺キャンペーンを特定、新たな脅威を検出することが可能になったことで、詐欺ページの検出数は 20 倍に増加しました。これにより、検索結果の信頼性が高まり、有害なサイトからユーザーを保護します。

例えば、航空会社のカスタマーサービスになりすまして、ユーザーをだます悪質な業者がウェブ上で大幅に増加していることが確認されています。Google はすでにこれらの詐欺を検索結果から 80% 以上削減し、ユーザーが詐欺的な電話番号に電話をかけるリスクを大幅に低減されています。

Chrome セーフブラウジング強化 : Gemini Nano でリアルタイム保護

今回、デスクトップ版 Chrome のセーフブラウジング「保護強化機能」ユーザー向けに、オンデバイス大規模言語モデル (LLM) である Gemini Nano を活用し、オンライン詐欺に対してリアルタイムの保護を提供することが発表されました。

Google Chrome のセーフブラウジングの「保護強化機能」の設定画面
Google Chrome のセーフブラウジングの「保護強化機能」の設定画面

この AI により、これまで見過ごされてきた可能性のある新しい手口の詐欺サイトに対しても、より早い保護が期待できます。 Google は既にこの AI アプローチを、被害の多いサポート詐欺の対策に活用しています。

オンデバイス AI の最大のメリットは、ユーザーデータが外部サーバーに送信されずに処理されるプライバシー保護と、応答速度の速さ、そしてオフラインでも機能する点です。ブラウザで利用する場合、特にプライバシーと応答速度の向上は大きな利点です。

なお、Google は将来的にこの保護機能を Android デバイスやさらに多くの種類の詐欺に拡大する予定です。

詐欺、スパム、不要な通知への対策

詐欺サイトのリスクは、サイト閲覧時だけではありません。ウェブサイトからの通知を許可している場合、悪質なサイトは大量の通知でユーザーを騙そうとする可能性があります。この問題に対処するため、Google は Android 版 Chrome 向けに新しい AI 警告機能をリリースしました。

Chrome のオンデバイス機械学習モデルが不審な通知を検出すると、ユーザーに警告が表示され、通知の登録解除やブロックされたコンテンツの確認を選べます。誤って警告された場合でも、そのサイトからの通知を許可する設定も可能です。

Android で不要な通知の対策をしている例のアニメーション
Android で不要な通知の対策をしている例

ちなみに、「Chromebook がウイルスに感染した」という誤解の多くは、このような悪質な通知機能が悪用されたケースです。実際にマルウェアがインストールされるわけではなく、通知機能を使ってユーザーを不安にさせ、騙す手口が報告されていました。そもそも ChromeOS では、従来のOSのように自由にソフトウェアをインストールする仕組みになっていないため、この種の脅威には元々強いのですが、通知は別問題でした。

通話やメッセージでの詐欺も AI がリアルタイム検出

Google は最近、Google メッセージと Google 電話アプリの両方にオンデバイス AI を活用したリアルタイム詐欺検出機能を導入しています。これにより、電話やテキストメッセージを通じた詐欺をリアルタイムで検出し、ユーザーを保護します。

電話アプリとメッセージアプリにおけるリアルタイム保護の警告の例
電話アプリとメッセージアプリにおけるリアルタイム保護の警告の例

例えば、宅配業者を装った不在通知 SMS に記載された不正な URL や、公的機関をかたって個人情報を聞き出そうとする不審な電話などを、AI がパターン分析してユーザーに注意を促すことが期待できます。日本国内でも巧妙な特殊詐欺が増加している中、OS レベルでのこうした対策は、被害を減らすためのきっかけになるかもしれません。

まとめ

Google の AI を活用したオンライン詐欺対策は、検索結果の安全性向上、ブラウザによるリアルタイムの脅威検知、OS レベルでの通知やコミュニケーションの保護など、ユーザーの安心・安全な生活を送るための大きなポイントです。

しかし、相手も手を変え品を変えてやってきますので、最終的にはユーザー自身で身を守るしかありません。不審な連絡には反応せず、個人情報などの入力は慎重に、ソフトウェアは常に最新に保ち、セキュリティ機能を有効活用するといった対応が求められます。

なお、こうしたユーザー安全性を考慮されているのが ChromeOS 搭載する Chromebook です。日々のセキュリティ対策の手間や負担を軽減することができるため、安全性を重視するユーザーは検討してみるのも良いかもしれません。

出典: Google The Keyword

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著者情報

Masahide Omuraのアバター Masahide Omura Technical Writer

月間平均130万PVの当サイトを8年以上運営している 尾村 真英 です。これまでに 50台以上の Chromebook をレビュー しており、主に小規模事業者を対象に Chromebook や Google Workspace の導入・活用支援も行っています。
現在は、Chrome Enterprise 公式ユーザーコミュニティのモデレーターとしても活動中で、Professional ChromeOS Administrator 資格を保有しています。

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