今年1月のCES 2021で発表された「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」は、インテル第11世代のCoreシリーズCPUを搭載するハイエンドChromebookです。
USIペン対応のコンバーチブルタイプとなる「Flip CX5(CX5500)」は、15.6インチディスプレイを採用した大型のChromebookで、テンキー付きバックライトキーボードを備えた、家庭でもビジネスでも使いやすいハイスペックなモデルになっています。ちなみに海外では、「ASUS Chromebook Flip C536」とも呼ばれています。
今回は「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500 / C536)」の触る機会をいただきましたので、実機レビューをしていきたいと思います。
スペック
まずはスペックをおさらいしますが、「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」が日本で発売されるChromebookとして初めてインテル第11世代CPUを採用します。
ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500) | |
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ディスプレイ | 15.6インチ 広視野角 1,920 × 1,080 250nits |
CPU | Core i5-1135G7 |
RAM | 8GB |
内部ストレージ | 256GB M.2 NVMe PCIe |
外部ストレージ | microSD |
Webカメラ | 720p |
ネットワーク | Wi-Fi 6 Bluetooth 5 |
ポート | USB-C ×2 USB-A ×1 HDMI ×1 |
バッテリー | 最大12時間 |
その他 | USIスタイラスサポート MIL-STD810H 日本語配列 |
サイズ | 357.6 x 240.8 x 18.5mm |
重さ | 1.95kg |
公式価格 | 109,800円(税込) |
「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」は15.6インチに広視野角、フルHD(1,920×1,080)のタッチスクリーンディスプレイを搭載したコンバーチブルタイプで、USIスタイラスペンにも対応していますが、重さが1.95kgもあるのでタブレットライクに使うのは厳しいです。
ポートはUSB-Cが2つ、Aがひとつ、HDMIとmicroSDカードスロットを備えていますので、持ち運ぶよりも家庭や職場などで定点的に置いて使うことに向いたモデルとなります。
この他にはMIL-STD 810Hに準拠した堅牢性、Wi-Fi 6とBluetooth 5.0をサポート、バッテリー駆動時間も最大12時間とハイエンドChromebookとして十分な性能になっています。
ちなみに今回レビューしている実機はCore i5-1135G7と8GBRAM、256GBストレージを採用したモデルです。
以下に実機で測定したベンチマークを紹介しておきます。
ベンチマーク
今回測定に利用したベンチマークは、Geekbench 5、Jetstream2、Octane、Speedometerのお馴染み4つです。
率直に申し上げて、Core i5とは言えChromebookの中ではかなりぶっ飛んだハイスペックとなっています。
以前、「Lenovo ThinkPad C13 Yoga Chromebook」のレビューでも4つのベンチマークを利用していますので、そのときの結果と今回の結果を掲載しておきます。
数値で表すと下記のようになります。
Core i5-1135G7 | Ryzen 5 3500C | Core i5-10210U | |
Geekbench Single Core | 1243 | 900 | 849 |
Geekbench Multi Core | 5,044 | 3,100 | 2,896 |
JetStream2 | 163 | 110 | 108 |
Speedometer | 171.1 | 96.74 | 109 |
Octane | 60,691 | 36,920 | 36,231 |
インテル第10世代のCore i5でも十分すぎるほどのハイスペックだと感じましたが、それを遥かに上回るほどのベンチマークスコアとなるのが「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」に搭載された第11世代Core i5-1135G7です。
図表には記載していませんが、ベンチマークスコアでは第10世代のCore i7-10510Uも大きく上回ります。
つまり今回の「ASUS Chromebook Flip CX5」は、国内で販売されているChromebookでも最上位クラスの性能であるとともに、数少ないテンキー搭載の15.6インチモデルとなるため、家庭だけでなく業務利用などでも余裕をもって使うことのできる機種になっています。
実機レビュー
では「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」の外観をチェックしていきます。
外観デザイン
まずは天板と底面部分から。
天板は「Flip C436FA」のようなエアロジェルホワイトではなくオフホワイトを採用していますが、珍しく底面も同じカラーを採用し高級感があります。
サラッとしたさわり心地の天板で、底面はややプラスチックな感じでツルっとしていますが、見た目にはわからず、ビジネスでも安心して使えるデザインだと思います。
ヒンジ側の天板部分には、キーボードに傾斜をつけるためのゴム足が付いています。
しっかり固定されているため、設置した状態で引いたりズラしたりしても取れる心配はなさそうです。
続いて左右の側面ですが、左右にUSB-Cポートが配置されているためありがたいモデルです。
左側はUSB-C、USB-A、イヤホンジャック、ボリュームボタン、電源ボタンとなっています。
右側にはUSB-C、HDMI、microSDカードスロットがあります。
HDMIポートが搭載されていますので、15.6インチサイズということもあって持ち運ぶよりもデスクに外付けディスプレイとともに置いて使いやすいモデルだと思います。
キーボード&トラックパッド
「ASUS Chromebook Flip CX5」のウリの一つであるテンキー付きバックライトキーボードです。
日本語(かな)配列キーボードになるとエンター周りのサイズが小さくなって苦しい傾向にあるのがASUSのChromebookですが、「CX5」はかなり頑張ったんじゃないでしょうか。
英語配列に慣れている身としては、キーが詰まっている部分で誤爆しそうになりますが、慣れてきたらそれなりに打てるので、普段から日本語配列を使っている人なら許容範囲かと思います。
テンキー部分もやや細めのキーとなりますが、早打ちで入力しない限りはとくに問題はなく、数字を扱う作業をしたり家庭では家計簿入力など幅広い用途に使えます。
私自身もテンキーが欲しいと感じる業務のときに試しましたが、やっぱあると便利です。
ちなみに文字入力が全角であってもテンキーからの入力時は半角数字になります。
ただ円マーク部分のキーが小さいので、これを入力する機会が多いとちょっと入力ミスが目立つように感じます。
文字入力に関してはエルゴリフトによって角度がつくので、それ自体はやりやすいので、あとは慣れ次第ということになりそうです。
ちなみに打鍵感は以前レビューしている「ASUS Chromebook CM3(CM3200)」と似た感じで、個人的にはわりと好みです。どちらかと言えば、「CX5」のほうがしっかりした押し心地に感じます。
トラックパッドは幅約130mm×縦約6.5mmという横長サイズとなっています。
滑りや反応は悪くありませんが、押し込んだときに若干パカパカした感じを受けるため、見た目は問題ないですが少しチープな印象を受けました。
ディスプレイ
ディスプレイは15.6インチに広視野角、フルHD解像度となっているため、文字のカスレなどもほとんど気にならず、個人利用も業務利用も問題なくこなせます。
ただ、わずかに色味が白っぽく感じることと明るさが250nitsのためキレのあるシャープな印象ではないことが気になります。
とは言え、普通に使う分にはそこまで気にすることでもないと思いますので、ここは好みの問題でしょうか。
「ASUS Chromebook Flip CX5」はタッチ操作対応のコンバーチブルタイプなので、テントモードやタブレットとしても利用できます。
しかし15.6インチをタブレットとして利用するのは正直しんどいところで、画面サイズを活かしてテントモードで利用することはありそうですが、手書き用途など以外でタブレットにする機会は少なそうです。
ちなみにスタイラスペンですが、USIスタイラスペンをサポートしています。
今回もエレコムのUSIペンを利用して、KeepとSquid、Jamboardで試しましたが、書き心地は滑らかさなどはさすがのハイエンドモデル&USIペンというところで、快適です。ノート代わりにするには少し大きすぎますが、資料への注釈を書く必要が出たときなども問題なく対応できるのが利点です。
それと画面の大きさとテントモードを利用して別のキーボード&マウスを使う…なんてことも可能です。
これで外付けディスプレイを使えば、2画面で作業領域を確保しつつ、手書きが必要になっても書きやすい環境がつくれます。
実際の使用感
ここ2週間ほど「ASUS Chromebook Flip CX5」を使ってみましたが、本体も性能もとてもしっかりとしていて、プライベートでも仕事でも余裕をもって使うことのできるChromebookだと思います。
Android版Lightroomを使っての写真編集やCrostini(Linuxアプリ)でVisual Studio Codeを利用して簡単なコーディング(HTML/CSS/JS/Wagtailとか)なら快適に作業ができます。
テンキーも数字入力の際に重宝しますし、キーの打鍵感などは悪くないため、業務利用端末としても十分選択肢に入ると思います。
ただ、サイズもさることながら重さも1.96kg(実測1.955kg)あるため、常時持ち運ぶデバイスとしてはオススメできず、自宅やオフィスなどに置いて使うことが多いユーザー向けと言えます。
私はあえて外に持ち出して使いましたが、持ち運びは苦労するもののバッテリー駆動時間の長さもあって使い勝手自体は悪くありません。
バッテリーの消費は1時間あたり15%程度でしたので、うまく使えば6〜7時間以上は外でも使うことができます。
重たいといっても持ち運べない重さでもありませんので、普段は外付けディスプレイと合わせて使いながら、必要なときに持って移動する…という母艦的な使い方が良いと思います。
まとめ
ということで「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500 / C536)」をレビューしてきましたが、15.6インチでテンキー付きのハイエンドChromebookという存在に魅力を感じるのであれば、このモデルはとてもオススメです。
最後に価格について、ハイエンドモデルということもあって価格は公式ストアで109,800円(税込)とかなり高額なモデルとなりますが、Amazonでは99,818円(税込)で購入することができますので、このスペックで10万円切りと考えれば悪い選択肢ではないと思います。
15.6インチでテンキー付きChromebookという限られたモデル中でも、「ASUS Chromebook Flip CX5(CX5500)」は最高クラスのハイエンドChromebookですので、使い方と予算が合うのであれば検討してみてはいかがでしょうか。